ダブルストップを使ったおしゃれ奏法の基本
ダブルストップとは、2本の弦を同時に鳴らす奏法のことです。
コードは3音以上を重ねますが、ダブルストップは2音を同時に鳴らすフレーズとなります。
単音フレーズほど薄くなく、コードほど厚くもない、ちょうどその中間にある響きが特徴です。
歴史的にはチャック・ベリーの「Johnny B. Goode」の冒頭リフが有名で、あの絶妙なドライブ感を持った2音が重なる感じがまさにダブルストップです。
また、現代ではネオソウル系のギタリストがダブルストップを多用することで、より注目度が上がっています。
マテウス・アサト(ネオソウルの範疇には収まりませんが)のようなギタリストは、コードの響きやスケールの流れと絡め、ボーカルのようなフレージングの一部として使います。アサト自身、曲のアレンジについて『まず単音のメロディを弾き、そこにダブルストップやコードを重ねていく』と語っており、ダブルストップは彼のスタイルの中核的なテクニックのひとつです。
この記事ではダブルストップの弾き方、フレーズの作り方を3つのアプローチから解説していきます。
ペンタトニックを主体としたダブルストップ
まずは次のフレーズを弾いてみましょう。

このフレーズはCメジャーペンタトニックの音だけで作られています。
ダブルストップの出発点として最も使われるのが、ペンタトニックのポジションです。
下のダイアグラムは、基本のCメジャーペンタトニックポジションの両端にペンタトニックの音を付け加えたものです。

先ほどのフレーズがこのダイアグラムをもとに作られていたことが一目瞭然です。
隣り合った弦の音を同時に鳴らすと、それだけでダブルストップになります。
しかし基本のペンタトニックポジション(赤丸)だけだと運指的にフレージングが難しくなるため、ポジションを拡張して把握することが大切です。
ペンタトニックのポジション上では、隣接する2弦が把握しやすいため、難しいことを考えなくても自然にダブルストップが成立します。
たとえばフレーズの冒頭部分では4度音程のダブルストップ(1、2弦の8フレット)から始まりますが、すぐに2弦10フレットを加えることで3度音程のダブルストップに切り替わっています。
ただ、弾いている側はそういった音程の違いを意識する必要はありません。ペンタトニックのポジションの中で音を重ねていくだけでフレーズが成立します。
これがペンタトニック・アプローチの最大の利点です。どの2音を鳴らすかだけを意識して、あとはフレーズの流れに集中することができます。
コードを主体としたダブルストップ
ペンタトニックのポジションでダブルストップが弾けるようになったら、次はコードの構成音(コードトーン)を意識したアプローチを見ていきましょう。
コードトーンを軸にダブルストップを選ぶと、コードの変化に対してフレーズがしっかり反応するようになります。また、コードトーンだけでなくスケール内のノンコードトーン(コードの構成音以外のスケール上の音)を織り交ぜることで、フレーズに色彩や緊張感が生まれます。
メジャーコード
Cメジャーコードの構成音はC(ルート)・E(長3度)・G(完全5度)の3つです。次のフレーズは、これらコードトーンを軸としながら、Cメジャースケール内のノンコードトーンも織り交ぜたダブルストップフレーズです。

フレーズの中にはコードトーンのみで構成されているダブルストップと、ノンコードトーンを含むダブルストップが混在しています。

(3〜5フレットの赤丸は5弦ルートポジション、8〜10フレットの赤丸は6弦ルートポジションです)
タブ譜とダイアグラムを見比べると、コードトーンとスケールの関係性が分かりやすくなります。
全体的に赤丸で示されたCメジャーコードの構成音でフレージングされていますが、流れの中でCメジャースケールの構成音(黒丸)が用いられています。
メジャーコードとメジャースケールの関係、同じコードの別フォームのポジションを視覚的に把握しておくことが大切です。
マイナーコード
Cマイナーコードの構成音はC(ルート)・E♭(短3度)・G(完全5度)。メジャーコードと比べて3度が半音低くなっています。この「短3度」の存在が、マイナー特有の暗さや深みを生み出します。

6弦ルートフォームのAマイナーコードの構成音を基本としながら、Aマイナースケールの音を織り交ぜながら弾かれたフレーズです。

コードを主体としたダブルストップのフレーズを紹介してきましたが、よく見るとどちらのフレーズもペンタトニックのポジションと重なっている部分が多くあります。
またCメジャーとAマイナーは平行調の関係にあります。
平行調とは、同じ音を使うスケールを持つ長調と短調のペアのことで、CメジャースケールとAナチュラルマイナースケールはまったく同じ音で構成されています。
今回紹介したCメジャーとAマイナーのフレーズをよく見比べると、ほぼ同じポジションでフレージングされていることがわかります。この関係を頭に入れておくと、「メジャーで覚えたポジションがマイナーでもそのまま使える」という形でフレーズが覚えやすくなります。
どちらのアプローチもそれぞれ独立したものではなく、密接に関係しているということを意識しておきましょう。
メジャーやマイナーコードから派生したダブルストップとして覚えたフレーズでも、それがどんな場面でも使えるわけではないということは頭に入れておきましょう。
例:キーCの曲でⅠ度(Cメジャー)、Ⅳ度(Fメジャー)上でフレーズを弾く場合、Cメジャーに対しての完全4度(F)は使用できますが、Fメジャーに対しての完全4度(B♭)はスケール外の音となってしまいます。
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度数を主体としたダブルストップ
ここまではペンタトニック、メジャーコード、マイナーコードの各基本ポジションを起点として、その周辺で使える音を織り交ぜたダブルストップの考え方でした。
ここからは、ダイアトニックスケールを基準にしたダブルストップのフォームを紹介していきます。
3度・4度・6度それぞれの音程で上昇・下降のパターンを把握しておくことで、コード進行に対してフレーズを作りながらその繋がりをよりスムーズなものにすることができます。
各フレーズの出発点は、高い音がルート(G音)となっています。
3度音程
まずは1弦と2弦による3度ダブルストップのパターンです。

ダイアトニックスケール上では長3度と短3度が混在して現れます。パターンを見ると、フレットの間隔が広い箇所と狭い箇所が規則的に並んでいることがわかります。このポジションをそのまま上昇・下降できるように指板上で覚えておきましょう。
続いて2弦と3弦の組み合わせです。

2弦と3弦はチューニングの関係で、同じフレットを押さえると長3度になります。短3度にしたい場合は2弦を1フレット低く押さえます。1-2弦のパターンとフォームが少し変わりますが、音の並び方(長3度と短3度の順番)はキーが同じであれば同じです。どちらの弦の組み合わせでも自在に動けるよう、両方を練習しておきましょう。
4度音程
次は4度ダブルストップのパターンです。

ダイアトニックスケール上の4度は基本的にすべて完全4度ですが、スケール上の1箇所だけ増4度(トライトーン)が現れます。響きが独特で不安定な印象を与えるため、その箇所だけ意識しておくと音使いのコントロールがしやすくなります。
4度の響きは3度や6度と比べてコードの機能をぼかす性質があり、コード進行のつなぎや浮遊感を出したい場面で特に有効です。ネオソウルギターで4度ダブルストップが多用されるのはこの響きの特性によるところが大きいです。
続いて2弦(B弦)と3弦(G弦)の組み合わせです。

3度パターンと弦の組み合わせが同じため、フォームの位置を少し変えるだけで3度と4度を瞬時に切り替えることができます。同じポジションで3度と4度を使い分けられると、フレーズの表情の幅が一気に広がります。
6度音程
最後は6度ダブルストップです。6度は弦を1本飛ばした2弦を同時に鳴らす音程で、間の2弦が鳴らないよう左手のコントロールが必要です。

音色としては3度や4度よりも音の開きが大きく、明るくキラキラとした印象になります。ネオソウルやカントリーで「あの特徴的な輝き」として聴こえてくることが多いのが6度ダブルストップです。
続いて2弦(B弦)と4弦(D弦)の組み合わせです。

まとめ
ダブルストップはギターソロやコードバッキングに織り交ぜるなど、使用頻度の高いフレーズです。
ネオソウル系に限らず、ロック、ブルース、ジャズなど様々なジャンルで使用されてきた歴史あるテクニックなので、皆さんがこれまで練習してきた楽曲の中でもたくさん登場してきたはずです。
それらのフレーズが何を基にして、どんなコードやスケールの時に使われていたかを分析することで、自分でも自由に使えるようになります。
今回紹介した基本のアプローチ方法をもとに、ぜひ知っているフレーズを分解してその仕組みに注目してみましょう。
そのうちコード、スケール、パターンが指板上に重なって見えてくる瞬間が来ます。
そうすると、ダブルストップを自在に操れるようになるでしょう。




