ファルセットってどういう声? 裏声とは違うの?

ボイストレーニング

「ファルセットってどういう声?」
「裏声と何が違うんだろう?」
「どうやったらファルセットが出せる?」

今回は、ファルセットとはどのような声を指すのか、裏声や普通の声とは何が違うのか。
そしてファルセットを出すためには、どうやって練習をすれば良いのかお話していきます。

ファルセットってどういう声?

ファルセットは女性のような高い声に聞こえる

具体的な例を聴くのが一番わかりやすいと思います。

最近では、この人のファルセットが一番世の中に流れているのではないでしょうか。
King Gnu「白日」

ヴォーカルの井口理氏が全編に渡って駆使している、一聴して女性の声かと聴き間違うばかりの高音。
これがファルセットと考えていただければ概ね間違いはありません。

音域的には中くらいの女声の音域(クラシックでいえばメゾソプラノ〜アルト)と同じ程度の音域幅になります。
人によってはさらに高く、ソプラノ歌手と同じ音域を操る人もいます。

井口氏が出している音域はメゾソプラノくらいですが、おそらく音を出すだけならもっと高い音域まで出せるものと推察出来ます。
ファルセットの訓練をしていない男性では、かすらせることも難しい音域です。

裏声・仮声とも呼ばれる

ファルセットは、日本語では「裏声」や「仮声」と呼ばれ、それに対して男性が出す普通の声は、「実声」と呼ばれます。
(そのため、ファルセットと裏声は基本的には同じものと言えます)

仮の声という名前がついていることからもわかる通り、明らかに普通の話し声とは違う響きがします。

訓練されていない通常のファルセットは非常に弱々しく、歌ったり何かを表現するには非常に頼りない声です。
ですが、これを鍛え上げることで、場合によっては実声の延長線上の声のように使ったり、力強い声とすることも出来るようになります。

鍛え上げれば力強さも

ファルセットを鍛え上げ、それで歌うクラシックの歌手は「カウンターテナー」と呼ばれます。
一昔前ではジブリ映画「もののけ姫」の主題歌を歌った米良美一氏が有名であり、氏の活躍で日本でもカウンターテナーという言葉が広まったように感じます。

実際に聴けばわかりますが、鍛え上げたプロのファルセットは、弱々しさを感じさせません。
それでいて女声ともどこか異なる中性的な響きが魅力です。

ただ、男性の声帯でこの音域を歌うのはやはり負担が大きく、実声の歌手と比べて演奏寿命は短いと言われています。
久石譲「もののけ姫」(カウンターテナー:米良美一)

リヒャルト・シュトラウス「明日!」(カウンターテナー:米良美一)

ファルセットを出してみよう

ものまねしてみる

さて、実際にファルセットを出してみましょう。

そう言われても、普段の話し声とは感覚が異なるせいか、コツを掴むまでは出せない人もいるのがファルセットですが、一番楽にできる方法がものまねです。

ファルセットを出している歌手のものまねをして、歌ってみましょう。
鍛え上げた歌手のようなファルセットをいきなり出すことはできませんが、弱々しくともなんとなく楽に高い声が出ていればそれがファルセットです。

ファルセットが出せたら、それを出来るだけ高いところまで出したり、逆に低く出せる限界まで出して遊んでみましょう。

高いため息を出してみる

いまいちファルセットを出す感覚が掴めない人は、ため息をついてみましょう。
頭の上から息を吐くようなつもりで、ため息の時に出る「ふー」という声を高くしていきます。
ある程度高い音からは勝手にファルセットになっているはずです。

ため息でファルセットを出す感覚がわかってきたら、今度はそのため息で出ている声を長く伸ばしてみましょう。
それがファルセットで歌うときの感覚です。

実声よりも息はたくさん必要になりますので、あっという間に息がなくなってしまうかもしれませんが、それで大丈夫です。

実声とファルセットの身体的な違い

実声とファルセットでは、具体的に使われている声帯周りの筋肉が異なります。
どちらの場合も2枚の声帯が擦れて声が出ることに変わりはありませんが、実声の場合は「甲状披裂筋(こうじょうひれつきん)」と呼ばれる筋肉が強く働き、声帯を収縮させて分厚くした状態を作っています。

一方のファルセットでは「輪状甲状筋(りんじょうこうじょうきん)」と呼ばれる筋肉が強く働き、実声の場合とは反対に声帯を薄く引き伸ばした状態を作っています。

声帯

実声は声帯を分厚くして使うから低い音に、反対にファルセットは声帯を薄く引き伸ばして使うから高い声になるわけです。
太い輪ゴムをぐっと引っ張って弾いた時の音と、細い輪ゴムを同じ様に引っ張って弾いた時の音が異なるのはなんとなくイメージがつくかと思いますが、声帯も似たような状態です。

そして、実際に声を出す場合はこの両方がうまく組み合わされて動いています。
わかりづらいのは、声帯は見えるわけでも、その使い方が知覚できるわけでもないところにあります。
あくまで声が出た結果でしか私たちは判断できないのですね。

さいごに

今回は男性でも女性と同じ音域で歌うことができる「ファルセット」についてお話しました。

普段ファルセットで歌うことはないな、と思う人も、ファルセットによって筋肉を鍛えることは安定した発声に繋がります。
まずは安定してファルセットを出す感覚が掴めるようにしたいものですね。

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