ハンマリングとプリングできれいに音を出すコツと練習方法
ハンマリングとプリングは、ギターの最重要テクニックのひとつで、ほとんどのギターソロやメロディー弾きの中で使われています。
そんな当たり前のように使われるテクニックですが、きれいに音を出すのが意外と難しく、中級者くらいの方でもおろそかになってしまっているケースがあります。
この記事では初めてハンマリングやプリングに挑戦する方や、「あれ?ちゃんと音が出ていない」と気づいてしまった経験者の方が、基本から一歩ずつ学べるよう丁寧に解説していきます。
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ハンマリングのやり方
ハンマリングは正式名称をハンマリング・オン(hammering-on)と言います。
金槌(ハンマー)に見立てた指で弦を叩く動作から、この名前が付いたと言われています。
楽譜上はHの記号で表されており、前後の音がスラー記号で繋がっています。
こちらの楽譜を弾く場合、次のような動作になります。
- 1弦の5フレットを人差し指で押さえ、ピッキングする
- 人差し指は5フレットを押さえたまま、中指を1弦の6フレットに叩きつける
2.の、指を6フレットに叩きつける動作がハンマリングです。
このフレーズの中でピッキングは5フレットの1回だけとなり、ハンマリングのタイミングではピッキングを行いません。
ハンマリングのコツ
とてもシンプルなテクニックなので、少し練習すれば音を出すことができると思うのですが、きれいに音を出し続けるためにいくつかのコツをご紹介していきます。
指の先端で弦をとらえる
指を弦に叩きつける際、指の先端が弦に当たるよう意識します。
指の腹部分を弦に当てると音が出にくくなってしまいます。
指を立てる
指を立て、爪が自分の方向を向くようにしましょう。
指を立てることで、自然と指の先端で弦をとらえることもできます。
素早く振り下ろす
金槌(ハンマー)は素早く振り下ろすことで、その力が最大限引き出されます。
ハンマリングも原理としては同じで、振り下ろすスピードによって音の出方が変わります。
大きく動かしすぎない
素早く動かそうとすると、どうしても指の動きも大きくなります。
ただ、ハンマリングと言えども釘を打っているわけではないので、練習段階では3cm程度の振り幅があれば大丈夫です。
関節を動かす(手首は動かさない)
指を振り上げて、振り下ろす。
この動作は指の付け根の関節(第三関節)の動きで行います。
第一、第二関節は弦を押さえた時と、指を振り上げた時で曲げ具合などに変化はありません。
また、手首の回転などもハンマリングには不要です。
指の同じ場所で叩く
指を振り上げ、振り下ろすという動作の中で、どうしてもその軌道にブレが生じてしまいます。
その結果、弦が指に当たるポイントが毎回少しずつズレていきます。
音を出すだけならばそこまでシビアになる必要もないのですが、毎回きれいな音を出すためには、指の同じ場所で叩けているかチェックしましょう。
力まない
しっかりと音を出そうとすると無意識に力が入ります。
フォームが正しければ小さな力で充分に音が出るので、力む必要はありません。
力まないと音が出ないようであれば、フォームを見直してみましょう。
ハンマリングの練習方法
シンプルな練習フレーズを使って、基本のフォームを身につけていきましょう。
・1〜2小節目は1弦5フレットを人差し指で押さえたまま、6フレットに中指でハンマリングしていきます。
【5フレットをピッキング→6フレットにハンマリング】
この流れを繰り返します。
・3〜4小節目は1弦5フレットを人差し指で押さえたまま、7フレットに薬指でハンマリングしていきます。
【5フレットをピッキング→7フレットにハンマリング】
指の間隔が開くため、少しやりづらくなると思います。
・5〜6小節目は1弦5フレットを人差し指で押さえたまま、8フレットに小指でハンマリングしていきます。
【5フレットをピッキング→8フレットにハンマリング】
小指のハンマリングは慣れるまでなかなか綺麗に音が鳴りませんが、やり方やコツは他の指と同じです。
プリングのやり方
プリングは正式名称をプリング・オフ(pulling-off)と言い、弦をプル(pull=引っ張る)する動作から名付けられています。
楽譜ではPの記号で表されており、前後の音がスラー記号で繋がっています。
こちらの楽譜を弾く場合、次のような動作になります。
- 1弦の6フレットを中指で押さえ、ピッキングする(この時人差し指で5フレットを押さえておく)
- 中指を外す時に指を弦に引っ掛け、5フレットの音を出す
中指を離す際にしっかりと弦を弾(はじ)き、5フレットの音を出すテクニックがプリングです。
プリングのコツ
ハンマリングよりも少し難易度が上がりますが、以下のポイントを押さえて練習しましょう。
左手の指で弦を弾く
ギターは弦をピックで弾いて音を出しますが、プリングは「左手の指で弦を弾(はじ)いて音を出す」と考えるとイメージしやすくなります。
ピックは弦に対して横方向に動きます。
プリングの際も左手の指を、弦に対して横方向に動かしましょう。
※プリングができない方にいちばん多い原因が、指を上(縦方向)に離してしまうことです。
第二関節を動かす
ハンマリングは第三関節で指先を動かしていましたが、プリングでは第二関節の動きがポイントです。
第二関節を曲げ、指先を手のひら側に引き込みます。
指はフレットに対して斜めに動く
プリングをした指は手のひらに引き込まれますが、手のひらとの位置関係で指はフレットに対して斜めの方向に動きます。
関節を曲げる力が、無駄なく弦に伝わるようにしましょう。
力を抜く
ハンマリングでも出てきましたが、力む必要はありません。
無駄に力むと弦がフレットからズレて「ピキッ」という音が鳴る、フレット落ちが発生してしまいます。
指先で押さえる
プリングの動作に入る前には必ず、弦を押さえるという動作が必要になります。
この時に指先で押さえるようにすることで指が立ち、軽い力できれいな音を出せるようになります。
プリングの練習方法
ここでもシンプルな練習フレーズを使って、基本のフォームを身につけていきましょう。
・1〜2小節目は1弦5フレットを人差し指、6フレットを中指で押さえます。
【6フレットをピッキング→5フレットにプリング】
この流れを繰り返します。
・3〜4小節目は1弦5フレットを人差し指、7フレットを薬指で押さえます。
【7フレットをピッキング→5フレットにプリング】
指の間隔が開くため、少しやりづらくなると思います。
・5〜6小節目は1弦5フレットを人差し指、8フレットを小指で押さえます。
【8フレットをピッキング→5フレットにプリング】
小指のプリングはどうしても力が入ってしまうと思いますが、フォームに注意しながら力まないようにしましょう。
ハンマリング/プリングでどうしても音が鳴らない
ここまでご紹介したコツを試してもきれいに音が鳴らない場合、次のポイントにも注意してみましょう。
親指の位置を下にしてみる
親指がネックの上から出ているフォームだと、指の可動範囲が狭くなります。
親指をネックの真ん中くらいまで下げてみましょう。
ギターの位置を上げてみる
ギターを構える位置が低い場合も、指の可動範囲が狭くなります。
この際、見た目は気にせず、ストラップを思い切って短くしてみましょう。
弦高を下げてみる
極端に弦高が高いと、ハンマリングやプリングで音を出すために必要な力が大きくなります。
ギターの状態に不安がある方は、楽器店などで弦高の調整やネックの反りをチェックしてもらいましょう。
練習フレーズ
ハンマリングとプリングを組み合わせたり、他のテクニックと組み合わせて使う場面が非常に多くなるので、複合技とも言える練習フレーズをご紹介します。
※クリーントーンで練習した後は、ディストーションなどで歪ませたサウンドでも練習してみましょう。
歪ませた場合、音は出しやすくなるのですがそれと同時にノイズも発生しやすくなるので、ミュートにも注意が必要です。
ハンマリングとプリングの連続技
ハンマリングとプリングを続ける奏法を「トリル」と呼びます。
ピッキングは各小節いちばん最初の音だけなので、徐々に音が弱くならないように1音1音しっかりと音を出しましょう。
連続プリング&連続ハンマリング
クロマチックトレーニングのプリング、ハンマリングバージョンです。
左手の指4本をフル活用することになるので、各指を独立してコントロールすることになります。
指のコントロールが難しいので、テンポを上げたほうが弾きやすいと感じる方もいるかもしれません。
しかし、指のコントロールという観点から見た場合、ゆっくりのテンポで正確に弾くほうが練習効果は高くなります。
スライドとのコンビネーション
ピッキングは最初の1音のみで、後はハンマリングとプリング、スライドで音を繋いでいきます。
このように、ピッキングを極力減らして音を滑らかに繋ぐ奏法は「レガート奏法」などと呼ばれています。
ストレッチ&小指
指を開き、小指も多用するパターンです。
指を大きく開くため、コントロールがより難しくなりますが実際の楽曲ではよく出てくる指使いです。
親指の位置や腕の角度などを調整しながら、より実践的な指使いを身につけましょう。
ハンマリングやプリングは、ギターに必須のテクニックになります。
焦らず、じっくりと、基本に忠実に練習してください。