音楽の決め事と枠 A=440Hzって誰が決めたの?

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数日前にtwitterでこのような事をつぶやきました。

「響きの科学」という、音を科学的に分析した本を読んで思った事でした。

「1939年にロンドン国際会議が開かれ、A=440Hzと決められたのだとか。それまでは世界中の地域ごとにAの音が若干違っていた。」

という事実にはとても大きな驚きがありました。

1939年以前にはドイツとイギリスではAの音が異なっており、音叉も両方の国でピッチが異なっていたのです。
ドイツ人とイギリス人のギタリストが一緒に演奏しようとした時、互いに自分の音叉でチューニングをしてから演奏を始めるとまったく噛み合ないひどい演奏になっていたのでしょう、なぜならお互いのチューニングが違うから。
二人同時に5弦開放のA音を出しても背中がソワソワするような響きしかしなかったはずです。
そこで、どちらかのチューニングに合わせて片方がチューニングをやり直す必要があったのです。

ギターのように簡単にチューニングできる楽器はまだ良いのですが、楽器の長さで出る音のピッチが決まるフルートなどの管楽器にとっては死活問題だったと書かれています。
ドイツ人とイギリス人のフルート奏者が一緒に演奏する場合、片方のフルートを切って短くする必要があったのでしょう。
そういった弊害をなくすために1939年の国際会議でA=440Hzに定められたそうです。

音楽には音楽の枠がある

また、絶対音感というものも「1939年に人によって決められたピッチを正確に覚えている」と考えると「絶対音感=神秘的な才能」といったイメージではなく、長期記憶の一種なのだと理解できます。
(1939年当時の絶対音感の持ち主のなかには、かなり困惑した人も多かったのではないでしょうか。自分がこれまでAだと思い込んでいた音がAではないと決められたのですから)

どんなに、枠にとらわれない自由で新しい発想の音楽を作るんだと意気込んでも、昔の人々が決めたA=440Hzのピッチと12音の音を使って作る音楽は、既にある特定の枠の中にはまっているという事を認識する事が大切なのではないでしょうか。
決まった音の枠の中でいかに人々を感動させる事ができるかを追求しているという事を。
大切な事は、この枠は人々が聞いて気持ちいいと感じる音をまとめて作られた枠だという事です。

音楽には他にもたくさんのルールがあり、それを体系的に分かりやすくまとめたものが音楽理論です。
音楽理論は人々が作ってきた音楽を分析し、気持ちいいと感じる響きや感動する響き、悲しく感じる響きなどを分かりやすくまとめたものです。
音楽から音楽理論が生まれたのであって、音楽理論が音楽を生んでいる訳ではありません。

「音楽理論なんか勉強すると自由な音楽が作れなくなる」というロックな発言をする人もいますが、けっしてそのような事はありません。むしろ、音楽理論を勉強した事で自由な音楽が作れないのなら、その程度の感性しか持ち合わせていなかったという事です。
音楽理論に関しては以前のエントリをどうぞギター弾きのための音楽理論講座1

枠はあるけどその広がりは無限大

音の高さ、音の大きさ、音の長さ、音色の4つの要素をもとに組み合わせて作る音楽には無限の広がりがあるのですが、どんなに感動させられる音楽でも、この4つの要素の組み合わせです。
演奏するときにこんな細かい事を考える暇はありませんが、練習の時にはこういった事を考えてみるのもいいのではないでしょうか。
なぜクラプトンのチョーキングはむせび泣くように聞こえるのか?この疑問を4つの要素に分けて分析してみると、新しい発見があるかもしれません。

音楽には枠があると書きましたが、けっして悪い意味ではありません。
世の中すべての事に枠があります。

基本的な音楽理論ではNGとされるコード進行が現代の音楽では普通に使われているように、枠から外れるとされている事もうまく使っていくことで徐々に認められ枠が広がっていく場合もあります。
でも枠を知らないと枠を広げる事もできませんよね。

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