ギタリストのDTMの始め方
DTMとは、デスクトップ・ミュージック(Desk Top Music)の略で、パソコンで音楽を作る作業全般を指します。
音楽を作ると聞くと、作曲をする人以外には関係ないと思われるかもしれませんが、DTMはギターの練習にもとても役立つので、うまく使いこなせば日々の練習がぐっと効率的なものになります。
この記事では、ギタリストの方に向けてDTMの基本と活用方法をご紹介しています。
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DTMってなに?
冒頭でも出てきたように、DTMはパソコンで音楽を作る作業全般を指します。
とは言っても、パソコンだけでは音楽を作ることはできません。
インターネットを見るにはwebブラウザ、メールを送るにはメールソフト、文書を作成するには文書作成ソフトが必要なように、パソコンで音楽を作るためには専用のソフトが必要になります。
そのソフトのことをDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)と呼びます。
似たような言葉が並びますが、DTMはパソコンで行う音楽制作作業の事、DAWは音楽作成ソフトの事、と区別して覚えておきましょう。
DAWの代表的なものとして
などが挙げられます。
ソフトごとに特徴がありますが、録音する、打ち込みをする、編集をするといった基本機能はそれぞれ持ちあわせています。
インターネットを見るために必要なブラウザにも、Chrome、Safari、Edge、Firefoxなどの種類があり、それぞれに特徴があるのと同じです。
DTMで何ができるの?
プロクオリティの楽曲制作
- ギターやボーカルの音をパソコンに録音する
- 演奏データをマウスなどで打ち込み、パソコンに演奏させる
- それらの音量バランスを整えたり、エフェクトをかけるなどの編集を行う
といった作業がメインの機能となります。
現在発売されているDAWであれば、どれを使ってもプロが制作した音楽と遜色ないクオリティーのものを作ることもできます。
(DAWに関しては、ほとんどのプロも市販のソフトを利用しています)
練習の成果を録音する
ギターはただ闇雲に弾いていれば上達するものではありません。
自分の演奏を録音し、客観的に聞き返すことで多くの気付きが得られて上達スピードに影響を与えます。
ギターを弾きながら自分の演奏を客観的に聞くのは意外と難しいものなので、いざ録音してみると「思ってた演奏と違う」「弾けてると思ってたのになんか違う」「ノイズがひどい…」なんてことも頻繁にあります。
自分の現在地を客観的に知ることは、目標地点に到達するための第一歩です。
DAWがあれば録音が手軽にできるので、自分の現在地を常に確認しながら練習の成果を確認できます。
ギター練習のツールとして
DAWには様々な機能が搭載されています。
音源を取り込み再生スピードを変える、リピート再生するといった機能はギター練習のとても強い味方です。
練習したい曲の音源データ(mp3など)を取り込み、ゆっくり再生しながら、練習したい部分だけをループ再生し、繰り返し練習することができます。
ゆっくり、繰り返し練習することは楽器練習の基本になりますが、この練習をとても手軽に行えます。
耳コピ
スロー再生やリピート再生機能は、耳コピにもとても役立ちます。
ゆっくり再生することで、フレーズの細かな部分まで聞き取ることができ、耳コピの精度が上がります。
他の楽器の音に埋もれて聞き取りにくい部分があれば、EQ(イコライザー)を使ってギターの音を目立たせることもできます。
ドラムマシーンとして
ほとんどのDAWにはドラム音源や、基本的なドラムパターンのデータが付属しています。
手軽に高音質のドラム音源が鳴らせるので、いつもメトロノームで行なっていた練習も一味違ったものにすることができます。
文句を言わず正確なリズムを刻み続けてくれるので、リズムトレーニングや基礎練習のお供として最適です。
音作りの練習
ほとんどのDAWソフトにはアンプシュミレーターが付属しています。
DAWソフトの中で仮想のアンプやエフェクターを使って音作りができるもので、名機と言われる機材がシュミレーションされています。
何十台ものアンプを弾き比べるのはスタジオでも難しいですし、ましてや家では不可能です。
これらのアンプやエフェクターを時間を気にせず使って好みの音を作る経験は、実際のアンプを使った時にも必ずプラスの作用をもたらしてくれます。
音楽の理解につながる
マウスでデータを打ち込み、自分の思い通りにドラムを演奏させることもできます。
ドラムの楽譜を見ながらバスドラム、スネア、ハイハットをひとつずつ打ち込んでいくと、データ通りに演奏してくれます。
最初は自分の指示通り演奏してくれることに感動すると思いますが、慣れてくるとその演奏に「何か違う」と物足りなさを感じるでしょう。
そういったケースでは大抵の場合、音の強弱に原因があります。
こちらの楽譜は8ビートと呼ばれるドラムの基本パターンですが、このまま打ち込むだけだと「何か違う」演奏になります。
1小節にハイハットが8回鳴っていますが、生身の人間が演奏した場合それぞれに強弱がつきます。
DAWでもそれぞれの音に強弱を指定することができるので、それを再現することでより生々しく音楽的な音になっていきます。
この強弱は楽譜には書かれていないので、自分の耳で聞いて理解し、数値として再現していく必要があります。
最初はとても難しい作業ですが、続けていくと音楽の理解につながり、その理解はギターのバッキングやソロ演奏にも必ず良い影響を与えてくれます。
ギタリストがDTMを始めるために必要なもの
パソコン
OSはWindowsでもMacでも大丈夫ですが、利用するDAWソフトの推奨環境をクリアしている必要があります。
あまりにも古かったり、低スペックのパソコンでは満足に動作しない場合がありますが、一般的にはCPU corei3、RAM 4GB以上などの条件を満たしていれば動作してくれるでしょう。
※動作環境の詳細は購入するDAWのホームページを確認しましょう。
DAW
DAWソフトはフリー(0円)のものから、5万円程以上するものまでいろいろな種類があります。
自分が使っているOSで使えるか、やりたいことの実現しやすさ、使い方などの情報が手に入りやすいかなど総合的に判断して選定します。
しかしいきなり「やりたいことの実現しやすさ」と言われても途方に暮れてしまうので、0円で手に入るソフトからはじめて必要であれば買い替えるという方法がおすすめです。
人気のStudio OneというDAWには、フリー版のStudio One Primeというバージョンが用意されています。
(Studio Oneはプロミュージシャンの中でも愛用者が増えています)
また、次に紹介するオーディオ・インターフェイスを購入すると、DAWソフトの無料お試し版がついてくることもよくあるので、そちらを利用しても良いでしょう。
オーディオインターフェイス
ギターの音をパソコンに取り込むための機械です。
エレキギターのピックアップから出る信号や、アコースティックギターをマイクで拾った信号はアナログ音声信号です。
その信号をパソコン上で扱えるデジタル信号に変換するための機械なので、ギタリストがDTMを行うためには必ず必要になります。
こちらは1万円程度から10万円を超えるものまでたくさんの機種がありますが、値段の安いものでも十分な機能を備えているので、予算の範囲内で選べば良いでしょう。
入門機として人気のある3機種をご紹介します。
スピーカー・ヘッドホン
オーディオインターフェイスには、パソコンの中の音をアナログ信号にして出力する機能もあります。
その出力先としてスピーカーやヘッドホンが必要になります。
DTM向けの音質の良いものがたくさん売られていますが、まずはお手持ちのスピーカーやヘッドホン、イヤホンなどで代用も可能です。
DTMの始め方
パソコンが無くても、iPhoneやiPadで動作するDAWや、オーディオインターフェイスも販売されています。
そのため、「DTMを初めてみたい!」となった時に必要なものは、ほとんどの人にとってはオーディオインターフェイスのみと言えるのではないでしょうか?
下の図が必要最低限の機材とそれらの配線図になります。
ギターとオーディオインターフェイスの接続は通常のシールドケーブル、オーディオインターフェイスとパソコンの接続はUSBケーブルととてもシンプルです。
DAWソフトの操作方法など最初は覚えることがたくさんありますが、その一歩を乗り越えた後にはとても楽しい音楽の世界が待っています。
音楽の制作だけでなく、ギターの練習にも効果抜群のDTM。
興味のある方はいますぐ始めてみましょう!!