ギターのビブラートが上手くなるための超基本練習
ギターのビブラートは、音程に揺らぎをあたえ、フレーズに表情をつけるテクニックです。
2弦の7フレットを1回弾いただけでも、ビブラートが上手い人が弾くと艶っぽい音楽的なトーンに聞こえます。
基本的なテクニックなのですが、使いこなすのが意外と難しく、ビブラートの使い方のせいで残念な演奏になってしまっている人も多く見られます。
この記事では、ビブラートの基本から使い方のポイント、練習方法までご紹介していきます。
ビブラートの基本
まずはギターでビブラートをかける際の、基本フォームから見ていきましょう。
基本のフォーム
人差し指の付け根が、ネックの側面に触れた状態が基本です。
これは人差し指でビブラートをかける場合も、薬指でビブラートをかける場合も変わりません。
また、このフォームはビブラート特有のフォームではなく、ギターを弾く際の基本的なフォームです。
ビブラートはフレーズに対して、息を吸うように自然に使われるので、普段のフォームから途切れずスムーズに使えるようになる必要があるためです。
※基本のフォームではなく、人差し指の付け根をネックから離すタイプの有名ギタリストもいますが、最初は基本のフォームから練習してみましょう。
ビブラートの掛け方
ギターのビブラートを雑に言ってしまえば、「細かいチョーキングを繰り返している」となります。
チョーキングの基本は手首の回転を使って弦を押し上げるのですが、ビブラートでも同じ動作となります。
写真では2弦7フレットを人差し指で押さえ、1弦側に曲げています。
人差し指がチョーキングのようにフレットに沿って動いていることがわかります。
ここでは1弦側に弦を曲げていますが、6弦側に曲げても問題ありません。
両方試してやりやすい方から練習してみましょう。
- 1弦と6弦でビブラートをかける場合、それぞれフレットの端なので1弦は2弦側に、6弦は5弦側に押し上げるしかありません
- クラシックギターでは手全体をフレットではなく、弦に沿って横方向に揺らす(指先の位置は変わらない)ビブラートが一般的です
- フレット方向と弦方向を織り交ぜて、指先を回転させるような動きでかけるギタリストもいますが、基本の動きをマスターして別のアプローチを試したくなった時にチャレンジしてみましょう
チョーキングの詳しい解説はこちら
チョーキングとは、押弦した指で弦を押し上げ、音程をなめらかに変化させるテクニックです。 エレキギターにおける最重要テクニックのひとつです。 こちらの曲は強烈なチョーキングからスタートしています。 (最初のロングトーンは、チョーキングした音を伸ばしています) https://youtu.b...
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ビブラートを上手くかけるポイント
ギターのビブラートの特徴を把握する
ギターのビブラートは、音程を上げたり戻したりするテクニックです。
ボーカルの場合は音程を下げる方向にビブラートをかけることも可能ですが、ギターはその特性上、左手で押さえたフレットの音を下げることができないため、音程を上げる→戻す→上げる→戻すを繰り返すことになります。
※トレモロアームを使えば、音程を下げる方向へかけるビブラートも可能になります
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周期を一定に保つ
ビブラートは音が一定の周期で上下しますが、その周期が不安定だと心地よく聞こえません。
まずは波の周期を一定にするよう心がけましょう。
音程を一定に保つ
波の周期と同じく、波の高さも一定に保つ必要があります。
波の高さがバラバラだと、これも心地よく聞こえません。
必ず基準音に戻す
ビブラートで上がった音が、基準音まで戻っていないと、音程がうわずっているように聞こえてしまいます。
必ず基準音まで戻るようにします。
(あえてうわずらせることもありますが、これは基本ができてからです)
ビブラートが下手に聞こえる原因
ビブラートのポイントを押さえているはずなのに、なぜか下手に聞こえてしまうというケースもあります。
ビブラートをかけるタイミングが早すぎる
発音と同時にビブラートをかけた場合、基準音が聞こえず音程が外れて聞こえます。
音を少し伸ばしてからビブラートをかけると、このような失敗はありません。
両方向に揺れている
ビブラートの掛け方のところで、「弦を押し上げる方向は、1弦側でも6弦側でもどちらでも良い」との説明が出てきました。
しかしこれは、一連のビブラートではどちらか一方を選択するという意味です。
1弦側と6弦側の交互に弦が曲がっているようなビブラートだと、音程や周期を安定させるのが難しくなり、音痴な演奏に聞こえてしまいます。
ビブラートをコントロールできていない
ビブラートのポイントは、周期と音程を一定にすることでしたが、実際に曲の中で演奏した場合、それだけでは不十分です。
周期には広い周期と狭い周期があり、音程もどの程度の幅にするのかたくさんの選択肢があります。
どの程度の周期で、どの程度の音程差のビブラートをかければ良いかは曲の雰囲気やテンポ、ギタリストが表現したいニュアンスによって変わってきます。
一本調子のビブラートしかできないと、特定のジャンルや曲調では良くても、それ以外の曲を弾いた時に違和感が出てしまいます。
また、コントロールできるようになると、周期や音程が徐々に変化するビブラートなどもかけられるようになり、表現の幅が広がっていきます。
ビブラートの基礎練習メニュー
ここからは、ビブラートの基礎を身につけるための基本練習をご紹介していきます
周期をコントロールする
4分音符に合わせる
まずは4分音符に合わせて音を揺らす練習です。
ここでは音程の正確さは意識しなくても良いので、リズムに合わせて音程を変化させる感覚を覚えましょう。
1拍目→指定されたフレットを弾く
2拍目→音程を上げる
3拍目→音程を戻す
4拍目→音程を上げる
8分音符に合わせる
先ほどの倍の速さで音程を上げ下げします
裏拍で音程を上げ、表拍で音程を戻す動きになります。
ここでもまずは音程の正確さより、リズムの正確さを意識しましょう
揺れ幅をコントロールする
小さな揺れ
揺れの周期は意識せず、小さな音程幅で動かしてみます。
音程幅が一定であれば、周期はもっとゆっくりでも大丈夫です。
大きな揺れ
音程幅を大きくするためには左手首の回転を活かし、手全体を使ってビブラートをかけます。
手の動きが大きくなると、音程幅を一定にするのが難しくなってきます。
リズムに合わせる
実際の曲で演奏する時、ビブラートの周期を「8分音符で揺らそう」などと意識することはあまりありません。
曲のリズムを感じながら弾いていると、自然に合ってくるイメージです。
先ほどまでと同じフレーズを、伴奏に合わせて弾いてみましょう。
音程の幅などは自由なので、バッキングトラックのリズムや雰囲気をよく聞きながら弾いてみましょう。
(動画後半はカラオケ伴奏となっています)
練習曲に挑戦
最後はシンプルなメロディーの練習曲で、ビブラートの練習をしてみましょう。
(動画後半はカラオケ伴奏となっています)
最初の8小節は5弦と4弦を使ったメロディーで弦が太いため、手首の回転をしっかりと使わないと、思ったように音が揺れてくれません。
次の9〜16小節目は、同じメロディーが1オクターブ上がり3弦と2弦で弾かれています。
弦の違いや指の違いで、ビブラートのかけやすさが大きく変わってくることが実感できると思います。
また、11〜12小節目や15〜16小節目は、音を伸ばした後、徐々に揺れ幅が変化していくビブラートになっています。
最初は譜面の例を参考に練習し、慣れてきたら自分なりにビブラートに変化を加えてみると良い練習になるでしょう。