ライトハンド奏法(タッピング)のコツと練習フレーズ

中級者向け, 初心者向け

ライトハンド奏法とは、右手の指で弦をタップ(叩く)して音を出すギターのテクニックで、「タッピング」とも呼ばれます。
ライトハンド奏法(タッピング)を世に広めた元祖は、アメリカのハードロックバンド「ヴァン・ヘイレン」のギタリスト「エドワード・ヴァン・ヘイレン」と言われており、彼らのデビューアルバムの2曲目に収録された「Eruption(邦題:暗闇の爆撃)」ではライトハンド奏法が盛大に披露されています。

この記事ではライトハンド奏法のやり方といった基本から、発展系の練習フレーズやコツまでご紹介していきます。

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ライトハンド奏法のやり方

ライトハンド奏法では、右手の指で弦をタップする時と、その指を弦から離す2回のタイミングで音を出します。
音が出る仕組みとしては左手のハンマリング・オンやプリング・オフと同じです。

タッピングで使う指

右手の人差し指、もしくは中指で弦をタップして音を出します。

人差し指でタッピングをする場合、ピックを置くか中指などに持ち替えることになります。
中指でタッピングをする場合はピックを持ち替える必要がないので、素早くタッピングの動作に移ることが出来ます。

タッピングの時のピックの持ち方

人差し指と中指のどちらを使うかは、弾くフレーズや演奏スタイルによって変わってくるのですが、最初はピックを置いて人差し指で練習してみましょう。
(冒頭の動画では、タッピングの直前にピックを投げ捨てていましたね)

タップ(叩く)で音を出す方法

まずは次の写真のように左手で1弦の5フレットを押さえ、右手の人差し指を1弦12フレットに叩きつけて音を出してみましょう。

タッピングで音を出す

この時、右手の人差し指は寝かした状態にして、指の腹(の少し先端側)で弦をタップします。
指先でタップすると爪が邪魔になったり、後述するミュートで不利になります。

また、指を根本から動かしてやると力を入れなくてもしっかりとタップすることが出来ます。
指先の関節は動かさず、指が1本の棒になったイメージで根本から動かしてください。

親指は軽くネックに添えるようにしておくと、右手全体が安定するようになります。

プル(引っかける)で音を出す方法

指で弦をタップした後、指を弦から離すタイミングでも音を出します。

タッピングのプルで音を出す

指は真上ではなく、横方向に離します。
そうすることで指が弦を弾き、プルのタイミングでもしっかりとした音が出ます。
音が出る仕組みは左手のプリング・オフと同じです。

指を上方向(低音弦側)に離したほうが良いか、下方向(高音弦側)に離したほうが良いかはフレーズやその人のクセによって変わります。
例えば、1弦だけを使ったフレーズの場合、上方向に離すと指が2弦に当たることもあるので、下方向に離したほうが合理的かもしれません。
冒頭でご紹介したエドワード・ヴァン・ヘイレンは上方向に離してタッピングしていました。

最初は動きがシンプルな上方向に離す方法で練習してみましょう。

ミュートがとっても大切

右手で1弦をタッピングした場合、その振動はネックなどを通じて他の弦にも伝わります。
そのため、ミュートが出来ていないと不要な音(ノイズ)が出てせっかくのフレーズが台無しになります。

また、一般的なタッピングフレーズの多くは深く歪ませたディストーションサウンドで行われるため、小さなノイズでも増幅されてひどい演奏になってしまいます。

ミュートは右手と左手を組み合わせて行います。

タッピングでのミュート

こちらの写真の場合、2弦は左手の人差し指の頭でミュートしています。
3弦から6弦は、手のひらの付け根あたりで弦に触れてミュートしており、右手全体が弦に覆いかぶさる形になっています。

右手ミュートの注意点としては「不要な弦のみミュートする」と「弦を強く押さえすぎない」の2点です。

手のひらという大きな部分を使うので、細かなコントロールが難しく鳴らしたい弦までミュートしてしまうことがあります。
また、右手を弦に強く押し付けてしまうと、指で弦を押さえたのと同じ状態になりそこでもノイズが出てしまいます。
ミュートが必要な弦に「触れている」だけの状態を目指しましょう。

ライトハンド奏法の練習フレーズ

ここからは基本から、少し発展させたパターンまで、8つのフレーズでタッピングのやり方とコツを身につけていきましょう。

右手タップ

タッピングフレーズ タブ譜1
【参考音源:タブ譜通りの演奏後、テンポを上げて2回演奏しています】

左手は1弦の5フレットを押さえたままにしておき、右手で1弦12フレットのタップとプリング・オフを繰り返します。

ここでのポイントは、タッピングとプリング・オフを一定の音量とリズムにすることです。
右手人差し指を根元から動かし、弦をしっかりと鳴らしてください。

また、不要弦のノイズ対策も意識して、2弦は左手の人差し指の頭、3〜6弦は右手の付け根部分でミュートしましょう。

両手のコンビネーション

タッピングフレーズ タブ譜2
【参考音源:タブ譜通りの演奏後、テンポを上げて2回演奏しています】

タッピングの基本フレーズです。
タッピングと左手のプリング・オフ、ハンマリング・オンそれぞれが一定の音量とタイミングになるよう、左右それぞれの指の動きをコントロールします。

右手が移動するフレーズ

タッピングフレーズ タブ譜3
【参考音源:タブ譜通りの演奏後、テンポを上げて2回演奏しています】

2小節目でタッピングをする位置が、1フレット分移動しています。
このフレーズは右手の移動が少ないので、手の位置を動かさず指先のコントロールだけで弾くことが出来ます。

両手が移動するフレーズ

タッピングフレーズ タブ譜4
【参考音源:タブ譜通りの演奏後、テンポを上げて2回演奏しています】

1小節ごとに両手の位置を移動させる必要があります。

右手のミュートに力が入りすぎていると、スムーズな移動が出来なかったり、移動時に弦を擦るノイズが出てしまいます。
無駄な力が入らないように、肩の力を抜いてリラックスしながら弾いてください。

左手は、右手が次の小節の最初の音をタッピングした瞬間に移動させます。
ポジションをしっかりと把握しながら練習しましょう。

タッピングにスライドを絡ませたフレーズ

タッピングフレーズ タブ譜5
【参考音源:タブ譜通りの演奏後、テンポを上げて2回演奏しています】

タッピングで音を出した直後に、右手をそのままスライドさせるフレーズです。

スライドのやり方は左手と同じで、弦をしっかりと押さえたまま指を動かします。
強く押さえすぎると動きが悪くなり、弱すぎると移動時に音が切れてしまうことがあります。

適度な強さで弦を押さえ、滑らかに指をスライドさせましょう。

低音弦を使ったフレーズ

タッピングフレーズ タブ譜6
【参考音源:タブ譜通りの演奏後、テンポを上げて2回演奏しています】

5弦を使ったフレーズなので、弦を押さえる時の感覚がこれまでと大きく異なります。

高音弦に比べると、タッピングするポイントが少しずれるだけで音が鳴りづらくなります。
音を鳴らしやすい指の位置を見つけ、毎回正確にタップできるように意識しましょう。

また、右手のタッピングが入るタイミングが少し変則的になっているので、正確なリズムで弾けるよう特に3拍目と4拍目のタイミングに注意してください。

ペンタトニックで弦移動

タッピングフレーズ タブ譜7
【参考音源:タブ譜通りの演奏後、テンポを上げて2回演奏しています】

ペンタトニックスケールを上へ下へ移動するにともなって、左右の手も上へ下へ移動するフレーズです。

ここでのポイントはなんと言ってもノイズ対策、ミュートでしょう。
不要弦のミュートが難しくなることはもちろん、弦移動のタイミングで指を弦にひっかけてしまわないように注意が必要です。

アルペジオスキッピング

タッピングフレーズ タブ譜8
【参考音源:タブ譜通りの演奏後、テンポを上げて2回演奏しています】

タッピングを使った弦飛び(スキッピング)コードアルペジオフレーズです。

Eコード→Aコードと2つのコードをアルペジオで弾くので、フレーズの音程差と両手の動きが大きく、派手になります。

左手の指を大きく広げる(ストレッチ)部分もあるので、ここでもミュートや手全体を正確に動かす練習が必要になってきます。

さいごに

タッピングの基本から少し発展させたフレーズまでみてきました。

今回ご紹介したのはエドワード・ヴァン・ヘイレンをはじめとする、ハードロック系のギタリストが発展させてきたフレーズの基本です。
ディストーションサウンドで弾くことを前提にしているので、何度もお伝えしたようにノイズ対策(ミュート)がとても大切になってきます。

これらのフレーズがどんなに速く弾けても、ミュートが出来ていなければただの雑音にしかなりません。
練習の時にはアンプの音量を大きめ(ヘッドホンでも大丈夫)にして、小さなノイズでもはっきりと聞こえる環境を作ってください。

練習のときにどんなポイントに注意を払うか、どこに注目するかで、練習の効果は大きく変わってきます。
これはライトハンド奏法(タッピング)に限った話ではないので、常に頭の片隅に置いておきたいものです。

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