オクターブチューニングの調整方法とその仕組み
ギターには普段行うチューニングとは別に、「オクターブチューニング」という調整が必要になります。
解放弦の音と12フレットの音(1オクターブ上)が、きっちり1オクターブの間隔になるように調整するチューニングなのですが、これがズレているとなんだか音痴な演奏に聞こえてしまいます。
この記事では「オクターブチューニング」の合わせ方とその仕組みなどを解説していきます。
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オクターブチューニングの方法
オクターブチューニングの調整は、大まかに次の3ステップで行います。
- すべての弦を正しくチューニング
- 12フレットを押弦した音程を測定
- 12フレットの音程がズレていた場合、サドルを調整
ステップ1と2はチューナーを使えば手軽に確認できます。
正しいチューニング方法についてはこちらの記事を参考にしてください。
ギターを弾くうえで絶対に外せないチューニング。初心者の方にもわかりやすいよう、図と写真を交えての徹底解説。初めてギターに触れてチューニングをする方、これからギターを始めてみようかなと思っているけど自分にできるかな?とお悩みの方はまずこちらをチェクしてみてください。正しいチューニング方法を身につけてギ...
ステップ3については、12フレットの音程が高い場合と低い場合とで、サドルを調整する方向が変わってきます。
1弦の場合、E音と比較して
- 12フレットを押さえた音程が高い→サドルを後ろにずらす
- 12フレットを押さえた音程が低い→サドルを前にずらす
サドルの位置を調整する方法はギターによっていくつかの種類がありますが、ストラトでは下の写真のようなタイプが一般的で、ネジをドライバーで回すだけで調整ができます。
ネジの回す方向は
- サドルを後ろにずらす=ネジを締める(時計回りに回す)
- サドルを前にずらす=ネジを緩める(反時計回りに回す)
となります。
12フレットを押さえた音が | サドルを | ストラトの場合サドルのネジを |
---|---|---|
高い | 後ろにずらす | 締める(時計回り) |
低い | 前にずらす | 緩める(反時計回り) |
また、レスポールの場合、サドルを調整するためのネジがストラトと反対向きに取り付けられているものがあります。
この場合はネジを回す方向もストラトタイプとは逆になるので、注意が必要です。
12フレットを押さえた音が | サドルを | ネジが反対向きの場合サドルのネジを |
---|---|---|
高い | 後ろにずらす | 緩める(反時計回り) |
低い | 前にずらす | 締める(時計回り) |
サドルの位置を動かすとチューニングが大幅に変わるので、サドルの微調整とチューニングを繰り返しながら、ぴったりと合うポイントを見つけます。
(サドルの位置を動かす前にはチューニングを緩め、サドルにかかる負荷を減らします)
注 これは一般的なエレキギターで行える調整で、ほとんどのアコースティックギターではオクターブチューニングはできません。
アコースティックギターの場合サドルを交換したり、削って調整する必要があります。
オクターブチューニングはなぜ必要?
手間のかかるオクターブチューニングですが、なぜこんな調整をする必要があるのでしょうか?
この記事の冒頭で「音痴な演奏に聞こえる」と書いた通り、オクターブチューニングがズレていると正しいフレットで正確に弾いても音程が少しずつズレてしまうので「なんだか微妙に下手」な演奏に聞こえてしまいます。
コードを押さえた時にもそれぞれの音が合わず、キレイなハーモニーを生んでくれません。
これは特にハイコード(8フレットや10フレット付近など高い位置で押さえるコード)を弾いた時に顕著になります。
ローコードではキレイに響いていたのに、ハイコードを弾くとなんだか気持ち悪いといった場合は、オクターブチューニングが合っていない可能性が高くなります。
どんな時にオクターブチューニングをするの?
ギターの仕組み上、普通のチューニングは毎日行いますが、オクターブチューニングはそれほど頻繁に行う必要がありません。
オクターブチューニングが必要になるタイミングは
- ピッチに違和感を感じた(ハイコードがキレイに響かないなど)
- 弦のゲージを変えた
- 弦を交換した
- チューニングを変えた(半音下げやオープンチューニングなど)
- 弦高を変えた
- ネックの反りを調整した
といったタイミングです。
普通にギターを演奏しているなかで、サドルの位置が勝手に動いてしまうことはほとんど考えられません。
元々オクターブチューニングが合っていたギターに調整が必要になるということは、ギター本体になんらかの変化があった時です。
逆に、急にオクターブチューニングが合わなくなった場合は、ネックの反りが発生している可能性が高くなります。
まずはネックの反り具合のチェックや、弦を新品に交換するなどして原因を探ってみましょう。
オクターブチューニングの仕組み
オクターブチューニングはサドルを前後に調整するだけなので、覚えてしまえばそれほど難しいものではありません。
ですが、たまにしか行わないのでいざという時に「前にするの?後ろにするの?」と迷ってしまう人も多いと思いますが、オクターブチューニングやギターの仕組みを理解しておくと、いざという時でも簡単に調整方法を思い出すことができます。
12フレットは弦の半分の位置にある
弦の長さがちょうど半分になると、音程が1オクターブ上(周波数が倍)になるので、サドルとナットのちょうど中間点に、12フレットが配置されています。
フレットの位置を後から動かすことはできないので、サドルの位置を微調整して12フレットが中間点になるようにしています。
弦長が短くなると音程は上がる
1フレットと10フレットでは、10フレットの方が高い音が出ます。
これは押さえたフレットとサドルとの距離(弦の長さ)が、短くなったために起こる現象です。
この弦長が短くなると音程が上がるという決まりを理解しておくと、オクターブ調整の時にサドルをどちらに移動させるべきかすぐに判断できます。
12フレットの音が高い時は、弦の距離が短いということなので、サドルを後ろに下げて距離を広げます。
逆に12フレットの音が低い場合は、弦の距離が長いのでサドルを前にして距離を縮めます。
- 距離が短い(音程が高い)→距離を長くする(サドルを後ろに)
- 距離が長い(音程が低い)→距離を短くする(サドルを前に)
まとめ
やり方はそれほど難しくないオクターブチューニングですが、細かな調整が必要なので慣れるまでは時間がかかる作業です。
また、微妙な音程を合わせる作業なので、使うチューナーも精度の高いものをおすすめします。
普段の練習からしっかりとチューニングされた楽器を使うことで、耳の力も自然と養われていきます。
耳の力が養われると、長い目で見た時に上達のスピードなどにも大きく影響してくるので、ギターの基本となるオクターブチューニングも疎かにせず、日々の練習に取り組みましょう!