ボサノバっぽいフレーズをサラッと弾いてみよう
オシャレなカフェやお店に行くと流れている、なんだか軽快でオシャレな音楽。
ボサノバと聞いて、そんなイメージを持つ方も多いのではないでしょうか?
この記事では、そんなボサノヴァをギターでサラッとおしゃれに弾くために、ポイントを絞ってタブ譜付きでサラッと解説していきます。
ボサノバってどんな音楽?
1950年代後半のブラジルで、ジャズとサンバが融合して生まれた音楽がボサノヴァです。
ブラジルの海岸地区で生まれた音楽で、海沿いの軽やかな日差しや影を感じるそのサウンドは、私たちにはとても軽快でおしゃれに聞こえます。
音楽的な特徴としてはサンバのリズムがルーツにあることと、ジャズで多用される「テンションコード」が巧みに使われたコード進行にあります。
「ボサノヴァ」という言葉はポルトガル語で「新しい感覚」や「新しい傾向」という意味を持っており、ジャズとサンバの融合を上手く表現しています。
ナイロン弦が張られたクラシックギターで演奏されることが多く、ボサノヴァにとってギターはとても大切な存在となっています。
また、ポルトガル語で書かれた歌詞やその発音、滑らかなメロディーもボサノヴァにはとても大切な要素となっています。
世界ではジョアン・ジルベルトやアントニオ・カルロス・ジョビン、セルジオ・メンデスなどが代表的なアーティストとして知られていますが、日本では小野リサさんが圧倒的な知名度を誇っています。
オシャレ感はコードがポイント
ボサノヴァに対して「なんだかオシャレな音楽」というイメージを持つ方も多いと思いますが、その「オシャレ感」を作り出している要素の一つが、テンションコードです。
テンションコードって何?
「C」というコードは「ド・ミ・ソ」の3つの音でできており、3和音と呼ばれています。
また、「CM7(C・メジャーセブンス)」というコードは「ド・ミ・ソ・シ」の4つの音でできており、4和音と呼ばれています。
これらのコードにさらに別の音を加え、不安定さや緊張感を与えたものが「テンションコード」と呼ばれ、普通のコードとは異なる複雑で洗練された響きを生み出します。
テンションコードを体感
ここでは、3和音、4和音、テンションコードの違いを体感し、ボサノヴァでなぜテンションコードが大切なのか実感しましょう。
まずは3和音で「Dm→G→C」というコードを弾いてみましょう。
シンプルで安心感のある響きですね。
次に4和音で「Dm7→G7→CM7」を弾いてみましょう。
少し洗練された響きになった印象です。
次に先ほどの4和音にテンションを加えた「Dm7(9)→G7(13)→CM7(9)」を弾いてみましょう。
(Dm7(9)コードは、「Dm9」と表記することが一般的なので、以降は「Dm9」と表記します)
一気にオシャレで繊細な響きになったと思いませんか?
最初の3和音と比較すると、無邪気な子供と、酸いも甘いも知り尽くした人生経験豊富な大人くらいの違いを感じます。
ボサノヴァのあの雰囲気に、テンションコードが必要な理由を実感していただけたのではないでしょうか?
テンションコードやコードについての詳しい解説はこちらの記事を参考にして下さい。
ギターを弾いていると日々たくさんのコードを目にしますが、なかにはこれなんて読むの?というコードもたくさん出てきます。 「C#mM7(9)」や「D♭m7-5」のように、もはやコードなのか?ただの文字化けなのか?判別のつかないようなものもたくさんあります。 ですが、コードの記号がそれぞれ何を表し...
ボサノバのリズム
冒頭で、ボサノヴァはジャズとサンバが融合して生まれた音楽だと紹介しました。
テンションコードを使ったコード進行がジャズからの影響とすると、サンバからの影響はそのリズムです。
ボサノヴァのリズムは、サンバのリズムをベースにしながらも、ゆるやかに控えめで、落ち着いた印象になっています。
サンバはもともと打楽器を中心とした賑やかで力強いリズムですが、ボサノヴァではそれをギターでシンプルに表現しています。
ここではボサノヴァでよく聞かれるリズムパターンを2つ弾いてみましょう。
オンライン専門のギタースクール
当サイトを運営するTHE POCKETは開校14年、日本で最初のオンライン専門ギタースクールです。
プロの講師陣によるマンツーマンレッスンだから、あなたのペースで確実に上達できます
基本パターン1
ボサノヴァのギターではピックを使わず、指弾きで弾くのが基本となっており、ベース音を親指、それ以外の音を人差し指、中指、薬指で弾いていきます。
まずはボサノヴァの基本パターンとも言える、シンプルなリズムを弾いてみましょう。
「タン タン トターン」のリズムを繰り返します。
ベース音は4分音符で一定のリズムを刻み、4、3、2弦が独特のリズムを作り出している事がわかります。
※五線譜で譜尾が下向きの音符はベース音、それ以外の4、3、2弦の音がコード音とイメージすると読みやすくなります
基本パターン2
「タン タン トタータ / トン タン トタータ」と弾いていきます。
ここでもベース音は4分音符を刻んでおり、4、3、2弦のリズムだけが変化しています。
基本パターン1との違いは、2拍目の「トターン」が「トタータ」に変わっていることと、2小節目の1拍目がベース音のみになっている部分です。
右手のコンビネーションが忙しくなりますが、スムーズに弾けるようになるまで繰り返し練習してみましょう。
ボサノバのフレーズを弾いてみよう
ここでは、基本パターン2をさらに変化させたリズムで、ボサノヴァらしいおしゃれなコード進行を弾いてみましょう。
ボサノヴァフレーズ1
基本となるコード進行はよくあるパターンですが、テンションを加えることでボサノヴァらしい雰囲気を醸し出しています。
「トン タン トタータ / トタータ トン タン」のリズムになっており、4、3、2弦のリズムが忙しくなっています。
ベース音についてはこれまでと同じく、4分音符で一定のリズムを刻んでいます。
また、8小節目では決めフレーズが入っています。
1つ目の音は短く切り(スタッカート)、次の音はしっかりと伸ばしましょう。
ボサノヴァフレーズ2
リズムは先ほどのフレーズとまったく同じですが、ベース音に変化があります。
1小節目の2拍目では、ベース音が6弦5フレットに移動しています。
これは、Dm9コードの5度にあたる音で、ベース音が「ルート→5度」という動きをしています。
この動きを加えることで、低音にも表情が出てより豊かな伴奏になります。
ただ、G7(13)コードの部分では5度を弾こうとすると5弦の5フレットを押さえることになり、コードフォーム的にしんどくなるのでここではルートのみを弾いています。
今回ご紹介した基本的なリズムパターンやフレーズを知っているだけでも、普通のポップスをボサノヴァ風にアレンジして演奏することや、ギターフレーズのアイデアの基になります。
ぜひギターフレーズのレパートリーのひとつとして、マスターしてみて下さい!