リズム感が劇的に良くなる!裏拍トレーニングのすすめ
リズムをもっと良くしたい。
自分のリズムに、正直あまり自信がない。
そういう方にぜひ取り組んでほしい練習が、「裏拍トレーニング」です。
メトロノームの鳴らし方を変えるわけでもなく、特別な機材も不要。
だけど、続けていくと一音一音のリズムの正確性が変わり、リズムキープが安定し、その先のグルーヴやノリのコントロールにつながっていく練習です。
ただ、このトレーニングは入口が難しく、最初の一歩でつまずく方が多いのも事実です。
この記事では、その入口をどう突破するかを中心に、裏拍トレーニングの具体的な方法と、よくある失敗のパターン、そして続けていくと演奏がどう変わっていくのかをご紹介しています。
「表拍」「裏拍」とは?
曲に合わせて「1、2、3、4」とカウントをとるとき、その数字を口に出している拍の頭を表拍と呼びます。
そして、数字と数字のちょうど真ん中。「1と2の間」「2と3の間」にあたる位置が裏拍です。
カウントするときは、表拍と裏拍を続けて「1 & 2 & 3 & 4 &」と数えます。
この「&」は「アンド」ではなく「エン」と読みます。
「ワン、エン、ツー、エン、スリー、エン、フォー、エン」とカウントします。
この記事では、裏拍のカウントを「&(エン)」と表記していきます。

裏拍トレーニングでやること
やること自体はとてもシンプルです。
- メトロノームを4分音符で鳴らす(テンポは80くらい)
- そのクリックの音を、表拍ではなく裏拍として聞く
- 表拍は、自分で取る
ここで大事なのは、メトロノームの設定は何も変えないということです。
テンポを半分にするわけでも、鳴らし方を変えるわけでもありません。
変えるのは自分の聞き方だけです。
同じ「ピッ・ピッ・ピッ・ピッ」という音を、表拍の「1・2・3・4」として聞くのか。
それとも、裏拍の「&(エン)」として聞くのか。
この切り替えができるようにする、というのが裏拍トレーニングの第一歩です。
文字にすると簡単そうに見えるのですが、実際にやってみると難しく、ほとんどの方がつまづいてしまいます。
最初の1〜2小節はできても、3小節目、4小節目あたりで少しずつ自信がなくなってきて、気がつくとまた表に戻っている。
何回試してもメトロノームが表になっている。
多くの方がこのような症状に陥ります。
裏拍トレーニングはなぜ必要なの?
裏拍を自然と感じられるようになると、リズムを細かく感じられるようになり、演奏の正確性が上がります。
クリックを表で聞いているとき、あなたが感じているのは1小節に4つの点です。
裏でも聞けるようになると、その間に自分で打った4つが加わって、8つの点でリズムを感じていることになります。
目印が増えるほど、一音一音の位置は正確になります。
そして正確さが上がると、リズムキープも安定してきます。
リズムを細かく感じることがキープ力につながるという話は、リズムの基本!リズムキープ力をチェックしようでも書いていますので、あわせて読んでみてください。
その先にあるのが、グルーヴやノリのコントロールです。
ここは誤解されやすいところなのですが、どんな演奏でも常に細かくリズムを取ればいいというわけではありません。
曲によって、その音楽のノリによって、どう感じるかは変わってきます。
細かく取らないほうがいい場面もあります。
ただ、それを選べるようになるための土台として、細かく感じられる能力が先に必要です。
感じられない人が「あえて感じない」ことはできません。
裏拍トレーニングは、その土台を作る練習です。
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裏拍トレーニングのやり方
いきなり「クリックを裏で聞いてください」と言われてすぐにできる人はほとんどいません。
レッスンでよくやるのが、カウントを一度だけ変拍子のように区切って、強制的にずらしてしまうという方法です。
1. まずは表と裏を全部カウントする
メトロノームを80で鳴らして、クリックに合わせて「1 & 2 & 3 & 4 &」と声に出してカウントします。
数字のところがクリックと重なります。
このとき、「&(エン)」も必ず声に出しましょう。
ここを飛ばすと、あとの工程が成立しません。
2. 1小節だけ「4拍目の裏」を削る
カウントが安定してきたら、「1 & 2 & 3 & 4」と、4拍目の「&(エン)」を言わずに、そのまま次の小節の「1」へ進みます。

8分音符ひとつぶん、自分のカウントが前に詰まることになります。
3. 通常のカウントに戻す
「&(エン)」を削るのは1回だけです。
そのあとは「1 & 2 & 3 & 4 &」という通常のカウントに戻します。
すると、自分が数えている数字はクリックとクリックの間に入り、クリックのほうが「&(エン)」の位置で鳴っている状態になります。

これで、メトロノームが裏拍で鳴り、表拍は自分が取っている状態のできあがりです。
一度この状態に入ってしまえば、「裏で聞くとはこういうことか」という感覚を体験できます。
理屈で裏を探そうとするより、この方法で強制的に裏拍でメトロノームが鳴るという状態を体感することが大切です。
アプリで裏拍トレーニングをする
ここまでの手順は、自分で一度カウントを削って反転させるやり方ですが、裏拍トレーニングができるアプリもあります。
当スクールの公式ギター練習アプリ「THE POCKET Guitar」に裏拍トレーニング機能が追加されています。
表拍と裏拍が自動で切り替わるので、自分でカウントを削る必要がありません。
1. メトロノーム画面の「TRAINING」を押す

画面上部にある「TRAINING」を押しましょう。
2. 「裏拍トレーニング」をオンにする

トレーニングのメニューが開いたら、「裏拍トレーニング」をONにします。
「表拍の小節数:2小節」「裏拍の小節数:2小節」と表示されているので、ここはデフォルトのままでかまいません。
設定を閉じて、テンポを80に合わせてスタートしましょう。
最初の2小節は、通常どおりメトロノームが鳴ります。
そして次の2小節は、メトロノームが8分の裏で鳴ります。
この4小節が繰り返されるので、まずは裏拍のメトロノームにつられずにカウントを取り続けましょう
- 最初の2小節:クリックと一緒に「1 & 2 & 3 & 4 &」とカウントする
- 次の2小節:クリックが裏で鳴っている状態をキープする
最初の表拍でメトロノームが鳴っているところから、裏拍を含めてカウントを取ることがポイントになります。
慣れてきたら、裏拍の小節数を4小節、8小節と増やしていきましょう。
どれだけ長くキープできるか、試してみてください。
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表だけでなく、裏も自分の中で出す
裏に入ったあと、多くの方が表拍だけを数えるようになります。
「1、2、3、4」と数えて、その間にクリックが鳴っている、という感じ方です。
この状態だと気づかないうちにクリックに釣られて、気づけばメトロノームと同じタイミングでカウントをしてしまいます。
そこで大切なのが、クリックが鳴っている裏拍も、自分の中で「&(エン)」として出し続けることです。
自分の中では「1 & 2 & 3 & 4 &」がずっと鳴っていて、その「&(エン)」の位置にたまたまクリックも鳴っている。
この状態が理想です。
裏を自分で出しているのか、それともクリック任せで空白にしているのか。
ここが大きな違いになってきます。
足でもカウントを取る
裏拍トレーニングの第一歩は、カウントで裏を取れるようになることですが、慣れてきたら一歩進んで体全体でリズムを感じられるようになりましょう。
そのためには足でリズムを取る必要があります。
カウントに合わせて足踏みをするだけなのですが、足を軽く動かしているだけだとリズムはなかなか安定しません。
おすすめは、床をドンと鳴らすくらい強く踏むことです。
自分の体に振動が伝わってくるくらいの強さで、拍の頭を出してください。
ドラマーの方はよく「リズムは腰で感じるものだ」という言い方をされます。
体の中心でリズムを受け止めるという感覚なのですが、そこに近づける方法がしっかりとした足踏みとなります。
楽器で音を出す前の段階で、体でしっかりリズムを感じられているかどうか。
裏拍トレーニングでは、ここが土台になります。
よくある失敗パターン
「何が失敗なのか」
知っておくと、練習で出来たか、出来ていないかを判断する材料になります。
1.数小節でつられて表に戻る
最初のうち必ず起きるのが、裏で入れたつもりでも、数小節やっているうちにクリックに引っ張られて、自分のカウントが表に戻ってしまう。
これは本当にほとんどの方がそうなりますので、「自分はリズム感が悪いんだ」と落ち込む必要はまったくありません。
誰でも最初はこうなるものだと思っておいてください。
つられて戻ってしまう原因は、大きく2つあります。
ひとつは、自分のリズムに自信がなく、不安になってクリックに寄っていってしまうこと。
もうひとつは、「&(エン)」のところでクリックを聞くこと自体にまだ慣れていないことです。
どちらも練習を重ねることで解消されていきます。
粘り強く足でカウントをとりながら、カウントを声に出すという動作を体に染み込ませましょう。
2.口だけ合っていて、体が取れていない
もうひとつ、レッスンでよく見かける失敗パターンがあります。
「1 & 2 & 3 & 4 &」の「&(エン)」がクリックとぴったり合っていて、一見ちゃんと続けられている。
ところがよく見ると、さっきの足踏みができていません。
口で言っているカウントをクリックに合わせているだけ、という状態です。
さらに、口のカウントは合っているのに、体のリズムのほうが裏に行ってしまっているパターンもあります。
表拍で強く踏むはずの足踏みが、いつの間にかクリックと同じ位置、つまり裏側で踏んでしまっているのです。
口が合っているかどうかより先に、まず自分の体でリズムを感じられているか。
ここが重要です。
かかとの足踏みで表拍がしっかり出ていて、そのうえで口のカウントとクリックが噛み合っている。
この順番を確認しながら練習してみてください。
裏拍トレーニング入門フレーズ
カウントを裏で保てるようになるまでは、毎日やれば1週間もあればできるようになります。
ただ、ここは入り口で、カウントができることと、演奏できることはまったく別物です。
目指すのは、自分で表拍を取り、メトロノームが裏で鳴っているこの状態のまま、どんなフレーズでも弾きこなせるようになることです。
練習フレーズを3つ用意しました。
ぜひ挑戦してみてください。
1. 8分のブラッシング(オルタネイト)

クリックに対して裏拍でカウントを取ってから、弾いています。
ギターのアップピッキングと、裏拍で鳴るクリックが同期します。
2. 8分のリフ

シンプルなリフで、裏拍の位置を正確に弾く練習になります。
3. 16分のカッティング

まずはカッティングパターンの練習をして、慣れてきたらクリックに合わせて練習します。
フレーズに対して、どこで裏拍のクリックが鳴るかが頭に入っていると練習がしやすくなります。
弾き始めた瞬間にカウントできなくなり、気づいたら表に戻っていた。
最初は必ずそうなりますので、気にせず何度も挑戦してみましょう。
体に染み込むには、何ヶ月もかかります。
1週間で入口を通れても、そこから先はずっと続けていく練習だと考えておいてください。
そして、これができるようになってくると、一音一音のリズムの正確性が変わり、リズムキープの力も向上していきます。
メトロノームとの付き合い方そのものについては、ギター弾きのための音楽理論講座18 リズム講座!⑤ メトロノームと友達もあわせてどうぞ。
まとめ
裏拍トレーニングは、地味ですが効果の大きい練習です。
まずはテンポ80で「1 & 2 & 3 & 4」と一度だけ削って、クリックが裏に回る感覚を味わってみてください。
そこから先は、どれだけ長く保てるか、弾きながら保てるかの積み重ねになります。
ひとつだけ厄介なのは、裏で取れているつもりでずれている状態を、自分では判断しにくいということです。
口では合っているのに体が取れていない、というパターンはまさにそれで、ご本人はできているつもりのことがほとんどです。
こういうズレは、誰かに見てもらったほうが早く見つかります。
レッスンでは、実際に音を出していただきながら、いまどこがずれているのかを一緒に確認していきます。
裏で取れているかどうか自信がないという方は、一度お聞かせいただくところから始めてみませんか。




