ギターの速弾きを1.2倍速にするコツと練習方法
ギターの速弾きと聞くと「テクニックを見せびらかしているだけ」「速いだけでカッコよくない」などマイナスの意見を持つ人もいますが、身につけておくと音楽表現の幅が広がる大切なテクニックで、センスよく使えば曲にアクセント加えたり、曲の魅力をより豊かなものにすることもできます。
しかし、速弾きは難易度が高く練習の積み重ねが必要なので敬遠されがちなのも事実です。
こちらの記事ではこれから速弾きにチャレンジしようという方、伸び悩みを感じている方に向けて、速弾きのコツとその具体的な練習方法をご紹介していきます。
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速弾きのコツ
ピックや指の動きを小さくする
速弾きを大きく分けると、すべての音をピッキングしながら弾く「フルピッキング」と、必要最小限のピッキングとハンマリング・プリングを織り交ぜて弾く「レガート奏法」の2種類があります。
フルピッキングの場合、いかに速くオルタネイトピッキングができるかにかかっているので、ピックの振り幅を小さくして素早くダウンピッキングとアップピッキングを繰り返すことになります。
ピックの振り幅が大きいとダウンピッキングからアップピッキングに移る際のタイムロスが大きくなり、速く弾くことが難しくなります。
レガート奏法ではプリングした後やハンマリング前の指が弦から離れすぎないことがポイントになります。
指が弦から離れすぎているとそれだけタイムロスが発生することになるので、右手も左手もコンパクトな小さい動きで音が出せるように目指してください。
ピックを浅く当てる
速弾きをきれいに聞かせるためには1音1音の粒(音の強さやトーン)がそろっていることが重要で、いくら速く弾いても音の粒がそろっていないと耳障りな音にしか聞こえません。
音の粒を揃えて弾くためには音の強さやトーンを均一にすることが大切ですが、ダウンピッキングとアップピッキングではどうしてもトーンに違いが出てきます。
この、ダウンとアップの音の違いはピックが弦に対して深く当たれば当たるほど大きくなりコントロールが難しくなります。
そこで、ピックを弦に対して浅く当ててやることで音の粒立ちが揃いやすく、聞こえの良い速弾きができるようになると同時に、ピックと弦の抵抗も減りピッキングスピードを向上させやすくなります。
ピックを浅く当てる感覚を具体的な数値で示すことは難しいのですが、6弦を弾く場合はピックの先端が6弦の真ん中に到達するくらいの深さとイメージしてください。
左手と右手のタイミングを合わせる
いくらピッキングが速くきれいにできるようになっても、それと同じスピードで左手が動かなければ速弾きはできません。
また、左手が速く動いてもピッキングをするタイミングと押弦のタイミングが少しでもずれてしまうと音がきれいに鳴ってくれません。
ピッキングや左手の運指を速く動かすことも大切なのですが、それ以上に右手と左手のタイミングを合わせることが重要になってきます。
タイミングを合わせる方法は、「ピッキングのタイミングに左手を合わせる」「押弦のタイミングにピッキングを合わせる」と捉えられがちですが、どちらも正しくありません。
正しくは「リズムに右手と左手を合わせる」です。
どちらか一方の手にもう片方の手を合わせようとすると、どうしてもぎこちない動きになってしまうので、基準となるリズムに対して右手と左手を合わせていくようにしましょう。
肩の力を抜く
ギターを弾くときはできるだけ力を抜いて「脱力」を意識しますが、速弾きはある一定以上のスピードになるとどうしても腕に力が入ってしまいます。
そもそも手を動かすので完全に力を抜くことはできないのですが、それでも必要最小限の力で弾くことを心がけてください。
最初は腕の力を抜く感覚が掴めないかもしれませんが、肩や背中にまで力が入っていないか意識してください。
肩や背中に力を入れてもピッキングが速くなることはないので、まずは肩の力を抜いてできるだけリラックスした状態で練習しましょう。
地道に練習する
最大のコツは「練習」です。
速弾きは腕や指の使い方、動かし方を身体に染み込ませることが大切なので、練習の大半がフィジカル面の強化となってきます。
野球選手がバッティングのフォームを身体に染み込ませるために何度も素振りを繰り返すようなものです。
ゆっくりのスピードからスタートして動きを頭で理解し、それを何度も繰り返すことで腕と指の神経が細かな動きに対応できるようになります。
そこから徐々にスピードを上げていくことで動きを脳が理解し、脳からの指令が神経に正しく伝わり、思い通りに弾けるようになってきます。
先ほど「速弾きは練習の大半がフィジカル面の強化」と書きましたが、「フィジカル面の強化=脳と神経の強化」と捉えてもらった方が正確かもしれません。
速弾きの練習方法
ここからは速弾き初心者に速弾きのコツを掴んでもらうために、5つの練習方法をご紹介していきます。
フルピッキングの練習
ただひたすらに1弦5フレットをピッキングします。
最初はBPM80くらいのスピードでスタートして、音の強さやトーンが一定になるように注意しましょう。
最初にご紹介した「動きを小さくする」「ピックを浅く当てる」「肩の力を抜く」の3つのコツを意識してください。
3つのコツがうまく掴めない場合、もっとテンポを落として脳でしっかりと理解しながら進めていきましょう。
指をタイミングよく動かす練習
こちらもBPM80程度からスタートしましょう。
先ほどのピッキング練習に左手の動きがプラスされるので、もう一つのコツ「左手と右手のタイミングを合わせる」が大切になってきます。
6フレットを中指で押さえる
7フレットを薬指で押さえる
8フレットを小指で押さえる
8フレットから小指を離す
それぞれのタイミングで音が途切れたり、詰まり気味になってしまわないようにするためにも左手と右手のタイミングが大切になってきます。
また、どちらかの手の動きにもう片方の手を合わせるのではなく、「基準となるリズム」に合わせるようにしましょう。
4本の指を独立させて動かす練習
左手の指が半音階で常に動いているので、それぞれの指を思い通りのタイミングで動かすことができてはじめてきれいに弾けるフレーズです。
BPMも60くらいまで落としてじっくりと取り組んでください。
これまでの4つのコツ「動きを小さくする」「ピックを浅く当てる」「肩の力を抜く」「左手と右手のタイミングを合わせる」に最後のコツ「地道に練習する」を加えて取り組むことが大切です。
実践速弾きフレーズ1
これまではトレーニング色が強いフレーズでしたが、こちらはより実践的なフレーズになっています。
指のスムーズな動きと手の横移動がポイントになってくるので、確実に弾けるゆっくりのスピードから始めましょう。
6連符1つ分で1フレーズになっており、2小節目でポジション移動が発生しています。
ポジション移動の際、いかにスムーズに左手を移動させるかというところもポイントになってきます。
テンポを上げていくとメトロノームと合わない、メトロノームと合っているかどうかもよく分からなくなる、という場合は拍の頭にアクセントをつけて弾いてみましょう。
実践速弾きフレーズ2
6弦から1弦までを駆け上がった後、駆け下りてくるフレーズです。
1弦に対して3音ずつ弾いていくので、弦を移動する際に「アウトサイドピッキング」と「インサイドピッキング」が交互に出てきます。
※アウトサイドピッキング、インサイドピッキングについてはこちらの記事を参照してください。
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また、弦の太さが違うため音の粒を揃えることが難しくなりますが、「ピックを浅く当てる」ことで弦ごとのムラが解消されやすくなります。
最初に触れたように速弾きの最大のコツは「地道に練習する」です。
「こんなの速く弾けるわけない!!」と感じるかもしれませんが、練習を少しずつ積み重ねることで必ず弾けるようになります。
「千里の道も一歩から」です。
まずは大切な一歩踏み出してみましょう!!