初めての!ギターソロの作り方
「ギターソロってどうやって作ればいいの?」
「バンドの曲にギターソロをつけなくちゃいけないんだけど、どうすればいい?」
「イマジネーションで作れるって言われるけど何それ?おいしいの?」
この記事ではギターソロ作りに初めてチャレンジする方でも、ギターソロが作れるようになる方法を一歩ずつ解説していきます。
ギターソロを作るシチュエーションは色々なパターンが考えられますが、次の2点を前提としています。
- アドリブソロではなく、曲間の決まったギターソロを作る
- すでにソロパートのバック(コード進行など)が決まっている
しかしこの考え方はアドリブソロを組み立てていく時にも役に立ってくるので、ギターソロ作りの基本として押さえておきましょう。
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大きな流れをつかむ
まずはギターソロが曲の中でどのような役割を求められているか、把握しておく必要があります。
ロック、ジャズ、ポップスなど、どんなジャンルの曲でもギターソロ(間奏)は入っていますがそこには必ず役割があります。
今から作ろうとしているギターソロが、曲からどのような役割を求められているのか把握するところから始めましょう。
ギターソロ前後のつながりから役割を見つける
ギターソロが入る場所には、
【サビ – ギターソロ – サビ】
【サビ – ギターソロ – Aメロ】
【Bメロ – ギターソロ – サビ】
などいくつかのパターンがあります。
【サビ – ギターソロ – サビ】
のパターンの場合、サビで盛り上がった状態でバトンタッチされ、さらに盛り上げて次のサビにバトンを渡す役割が期待されているでしょう。
【サビ – ギターソロ – Aメロ】
のパターンの場合、盛り上がった状態でバトンを受け取り、落ち着いた状態にしてからAメロにバトンを渡す役割が考えられます。
まずはギターソロ前後の流れを見ることで、ギターソロの役割や、何を求められているか見つけます。
コードの流れをつかむ
コード進行はそれ自体に流れや展開があります。
その流れや展開には作曲者が間奏に求める役割が反映されてくるので、先ほどの「ギターソロ前後のつながり」と合わせて理解することで、ギターソロの役割がよりはっきりとしてきます。
また、コード進行を何度も聴いて流れを覚えると、メロディーやフレーズのイメージも徐々に固まってきます。
コード進行にはたくさんのヒントやアイデアの素が含まれているので、楽器で弾かなくても頭の中でコード進行を鳴らせるくらい、何度も聴いて覚え込みましょう。
ブロック分けしてみる
現代音楽の多くはAメロ、Bメロ、サビなどのブロックが組み合わさってできています。
また、それぞれのブロックはさらに小さなブロックで構成されています。
16小節のギターソロの場合、
- 8小節+8小節
- (4小節+4小節)+(4小節+4小節)
のようなブロック構成が考えられます。
この小さなブロックはコード進行とも対応しています。
8小節のコード進行を2回繰り返してギターソロになっている場合や、4小節でまとまった2種類のコード進行からできている場合などがあります。
(コードが進行しない1コードの場合でも、2小節や4小節の単位で区切られています)
流れがつかめたら、その流れがどのようなブロックを作っているか分解して書き出してみましょう。
A + Bパターン
(A + A)+(B + B)パターン
このブロックはギターソロを考える上でとても重要な設計図の役割を果たしてくれます。
この設計図を基にそれぞれのブロックの役割を決め、その役割に合ったフレーズやメロディーを考えていきます。
ソロの構成をイメージする
大きな流れがつかめたらその流れをもう少し詳しく、具体的に考えていきましょう。
あらすじを組み立てる
ここまででスタート地点とゴール地点の大まかなイメージができてきたと思います。
ここからはどのような道を進んでゴールまでだどり着くかという、物語のあらすじを組み立てていきます。
【サビ – ギターソロ – サビ】
のパターンで考えてみましょう。
盛り上がった状態でバトンを受け取り、さらに盛り上がった状態で次のサビにバトンを渡すという大きな流れです。
盛り上がったものをさらに盛り上げるためにはどうすれば良いでしょうか?
例えばこんなパターンが考えられます。
Aパターン
盛り上がった状態でスタートして、ゴール地点に向けてさらに盛り上げていくパターンです。
ハマるととてもかっこいいソロになりそうですが、意外と難易度が高いかも知れません。
Bパターン
盛り上がった状態でスタートして、いったん落ち着いた状態になってからもう一度盛り上げるパターンです。
野球の解説でよく耳にしますが、緩急をつけると同じ速さのボールでもより速く感じます。
ギターソロでもいったん落ち着いた状態にすることで、次のパートが無理をしなくてもより盛り上がった印象を与えることができます。
ここではBパターンを採用することにしましょう
ブロックごとの役割を決める
採用されたBパターンに、先ほど見つけていたブロックを当てはめてみましょう。
ここでは4つのブロックがあると仮定します。
Bパターンと4つのブロックを組み合わせてみると、真ん中2つのブロックは落ち着いた状態になっていることが分かります。
また、落ち着いた状態といってもいろいろなレベルがあるので、より具体的に考えてみましょう。
2つ目のブロックはとても落ち着いていて、3つ目のブロックはもう少し盛り上がっています。
これでそれぞれのブロックの役割と構成がはきりとしてきました。
具体的に音をイメージしてみる
大まかなソロの流れとブロックの役割がはっきりしてきたので、より具体的に音をイメージしていきます。
これまでは盛り上がる、落ち着くといった表現で流れを考えてきましたが、盛り上がるとはどんな状態のことなのでしょうか?
一般的にはこのような傾向があります。
- 高い音や、音数が多いフレーズは盛り上がって聞こえる
- 低い音や、音数が少ないフレーズは落ち着いて聞こえる
この傾向を基にしてしてより具体的に音をイメージしてみましょう。
こちらの図では音の高さを上下の位置、音数の多さを色の濃淡で表してみました。
高い音で音数の多いフレーズから始まり、低い音で少ない音数のブロックに入り、少し音程と音数が上がったブロックを経過して最後のブロックに入るという流れになっています。
ギターソロ全体の流れがよりはっきりと見えてきました。
フレーズとして組み立てていく
ギターソロの流れがはっきりと見えてきたので、いよいよこの流れに合うフレーズを作っていきましょう。
この先のフレーズを作っていく段階ではいくつかの方法があるので、代表的なものをご紹介します。
キーとスケールを見つける
これはソロを作る前段階で必ず必要になってきます。
キーとは「調性」と呼ばれるもので、その曲にどんな音が合うのかを見つけ出すための大切な手掛かりになります。
key=A(エー)、key=Dm(ディーマイナー)
のように音名のアルファベットやそこにマイナーを加えた形で表されます。
スケールとは「ドレミファソラシド」のような規則性を持った音の並びのことで、その曲でぴったりと合う音がパッケージ化されているものと考えてください。
major scale(メジャー・スケール)、minor scale(マイナー・スケール)などたたくさんのスケールがありますが、ギターではペンタトニック・スケールというスケールの使用頻度が高くなっています。
曲のキーを見つけ出し、その曲の雰囲気に合うスケールを選択するという流れになり、キーがAで、メジャースケールが合う曲であれば、A major scale(エー・メジャー・スケール)を使ってソロを組み立てていくことになります。
キーやスケールについて詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
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知っているフレーズを配置してみる
すでにいくつかのソロフレーズが弾ける場合は、それぞれのブロックに合うフレーズを配置してみます。
知っているソロをそのまま配置するのではなく、一部を借りてくるイメージです。
4小節のフレーズを知っていたとしても4小節をそのまま弾くのではなく、1-2小節目だけを使う、3-4小節目だけを使うといった方法です。
「それは盗作だ!!」
と思われるかも知れませんが、ほとんどのギターソロやフレーズはこのような方法で作られています。
先人が作ってきた良いフレーズやアイデアを自分なりに解釈し、新しいソロとして再生産しているのです。
コード進行とスケールからメロディーを作る
最初に出てきた「コードの流れをつかむ」の項目でコード進行を何度も聴き込んでいた経験がここで活きてきます。
コード進行に合わせて鼻歌が歌えればその音をギターで拾ってみましょう。
鼻歌が出てこない場合でも、コードに合わせてスケールの音をひとつずつ弾いてみることでメロディーのイメージが出てくることもあります。
最初は何も思いつかないかも知れませんが、コード進行を聴き込むことで徐々にメロディーがイメージできるようになってきます。
メロディーのイメージができたらその音をギターで弾けるように一音ずつ探していきましょう。
フレーズの合間をつなげていく
フレーズを配置してソロを組み立てていくだけでは、どうしてもつながりが悪い場合もあります。
そんな時はつながりの良さそうなメロディーをイメージし、その音をスケールの中から探していきましょう。
ソロの大きな流れに当てはめたフレーズとフレーズの間が、よりスムーズになるように調整を加えていきましょう。
全体の流れをつかみ、そこからソロの構成を組み立て、最後にフレーズやメロディーで作り込んでいくという流れです。
参考になるギターソロ
前段階をすっ飛ばし、いきなり知っているフレーズやスケールを使ってソロの組み立てに入っていくと、前後の流れが悪かったり、何が言いたいのか良くわからないソロになってしまいます。
ギターソロの流れは、慣れてくれば何度か曲を聞くだけですぐにイメージできるようになってくるのですが、慣れるまでは少し時間がかかるかもしれません。
最後に、実際の曲の流れを分析して具体的なイメージをつかんでおきましょう。
ウルフルズ – バンザイ~好きでよかった~
この曲のギターソロパートは
【サビ – ギターソロ – Bメロ – サビ】 の流れになっています。
サビから受け取ったバトンを落ち着いた状態で暖め、次につながるように徐々に盛り上げていきますが、その盛り上げ具合も8分目程度に抑えています。
次のBメロでは歌が入ってくるのですがギターソロは終わっておらず、歌とギターの掛け合いで徐々に盛り上げマックスの状態で次のサビにつなげています。
展開もフレーズもしっかりと練られており、聴いた人の耳に残るとても素晴らしいギターソロになっています。
Lenny Kravitz – Rock And Roll Is Dead
この曲のギターソロパートは
【サビ – ギターソロ – サビ】 の流れになっています。
サビから受け取ったバトンに違う色合いを加えることで、曲全体の流れをダイナミックにしています。
バックでは同じリフが続いているのですが、ギターソロが入ることで曲に展開ができ飽きることがありません。
この印象的なリフとサビをもっと聴いていたくなる、中毒性のある曲に仕立てる大切な役割を果たしています。
コード進行の展開が少ない中でもしっかりと展開を作る、ロックギターソロのお手本ともいうべき素晴らしい演奏だと思います。
さいごに
これまで紹介してきたように、ギターソロには必ず役割があります。
コピーをするときもただフレーズ単体を見るのではなく、全体の役割や構成に注目するクセをつけてください。
細かい部分ばかりに注目していても見えないことが、全体から見ると簡単に見えてくることもあります。
最初のうちはどうしても「木を見て森を見ず」の状態になってしまうので、意識的に全体像を見るように心がけましょう。
この経験は自分でギターソロを作るときや、アドリブソロにチャレンジするときにも必ず活きてきます。
良いギターソロはスグ、簡単にできるわけではありません。
それまでの経験や積み重ねが活きてくるので、普段の音楽の聴き方や練習で意識的に自分の中のストックを増やしておきましょう。