ギターの耳コピのコツと実践トレーニング

初心者向け

耳コピと聞いて「難しい!」「自分にはできない!」「絶対音感がないから無理!」と身構えてしまうギター初心者の方も多いと思います。

しかし、耳コピは正しいステップで練習していけば、誰でもできるようになる技術です。
この記事では、初心者のための耳コピの基本的な練習方法から、便利なツール、実際に挑戦してみたい楽曲まで、分かりやすく解説していきます。

耳コピの基礎

そもそも耳コピってなに?

耳コピとは、楽譜を見ずに音楽を聴いて、それを楽器で再現する技術です。
音源を聞いて、どの音が使われているのか、どうやって演奏するのかを自分の耳で判断するため、基本的な演奏スキルや経験が無いと耳コピはとても時間がかかる作業です。

しかし、「耳コピは技術」と紹介したように、一歩ずつ練習していけば必ずそのスキルは向上していきます。
ギターが上達するためにはある程度の練習量が必要ですが、耳コピにも練習量が必要なのです。

耳コピのメリット

耳コピを練習する過程で、「好きな曲が弾けるようになる」以外にもたくさんのメリットを手にすることができます。

音感の向上:耳コピを繰り返すことで、自然に音の高さ(ピッチ)やコード進行、リズムを聞き分ける力がつきます。
これは音楽全般の理解や、演奏スキルの向上に大いに役立ちます。

聞く力の向上:耳コピでは、楽曲を何度も何度も注意深く聞きます。
この「聞く」という行為は意外と奥が深く、音楽を正確に、深く聞き取れるようになると演奏力の向上にも直結していきます。

曲の理解が深まる:耳コピを通じて、曲の構造や流れ、特定の楽器の役割をより詳しく理解できるようになります。
その結果、他の楽器と一緒に演奏する時や楽曲のアレンジ、作曲などにも役立ちます。

最初のうちは難しく感じるかもしれませんが、徐々に耳が鍛えられ、少しずつ聞き取れる範囲が広がっていきます。
耳コピは自分のペースで進められるため、焦らず楽しんで取り組むことが大切です。

耳コピに必要な道具

耳コピを始めるにあたって特別な機材は必要ありませんが、効率的に進めていくためのおすすめアイテムを紹介しておきます。

チューナー

ギターのチューニングが狂っていると、どれだけ頑張っても正確に音を探ることができません。
耳コピをする前には必ずチューナーを使って、チューニングを済ませておきましょう。

ABループ、スロー再生ができるアプリ

耳コピのスタートは、聞いた音がギターのフレット上のどこにあるのか探すところからはじまります。
ただ、最初は何度も繰り返し聞くことになるので、楽曲の指定した部分を自動で繰り返し再生してくれるプレーヤーが便利です。
(多くのプレーヤーでは、A地点、B地点を指定してループ再生するので、この機能はABループと呼ばれています)

また、音数が多かったり、速いフレーズはスロー再生することで正確に聞き取れるようになります。

無料のスマホアプリやPCソフトがたくさん出ていますが、ここでは使い方がシンプルで音質も良い「Music Speed Changer」をおすすめします。

iOS、Androidアプリはもちろん、WindowsやMacのソフト、ブラウザ上での使用、Chromeのアドオンなど様々なプラットフォームに対応しているところもおすすめの理由です。

耳コピだけでなく、練習にもとても役に立つので必ず準備しておきましょう。

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耳コピの基本ステップ

耳コピはギターの練習と同じで、いきなり難しいところからスタートすると必ず挫折してしまいます。
初心者が耳コピをスムーズに進めるためには、できるだけ簡単でシンプルなところからはじめていきましょう。

曲をじっくり聴く

耳コピを始める第一歩は、曲をじっくり聴くことです。
全体像を把握するために何度も繰り返し聴いて、曲の骨組みや構成を大まかに理解しましょう。

最初は無理に細かい音を拾おうとするのではなく、

  • 曲のメロディラインやリフ、全体の流れ
  • コード進行やリズムの変化
  • ベースラインやドラムのパターン

などに注目して曲を聞くことで、次のステップが進めやすくなります。

短いフレーズに分ける

曲をざっと聴いて構成を把握したら、短いフレーズに分けて耳コピを進めます。
4小節のイントロフレーズの場合、一気に4小節全部をコピーすることは難しいので、1小節ごとや楽曲によっては1拍、2拍など、分けられそうな最小単位に区切ります。

短いフレーズに分けられたら、ABループで繰り返し再生しながら1音ずつ音を探っていきましょう。

音程を確認する

まずは最初の1音がギターのフレット上でどこになるのか、じっくりと探し当てます。

最初の1音が分かったら、次の音が最初の音に対して高いのか低いのか予測しながら、ギターを弾いて音を探していきます。
この時、耳で聞いたフレーズを口ずさみながら探すと、より音程のイメージがつきやすくなります。

リズムを捉える

音程が掴めたら、次はリズムを正確に捉えることに挑戦しましょう。
リズムがずれてしまうと、せっかく音程が合っていても、曲に合わせて演奏ができません。
曲のリズムをしっかりと意識するためには、ドラムなどリズムが分かりやすい楽器の音に耳を傾ける意識が大切です。

リズム感が掴みにくい場合は、フレーズを口で歌ってみたり、手や足でリズムを叩いてみると、タイミングを捉えやすくなります。

ルート音を見つける

ここまではメロディーなど、音が1音ずつ鳴っているフレーズの耳コピ方法でしたが、曲の全体像を掴むためには、コード進行をコピーすることも大切になってきます。

たくさんの音が同時に鳴っているコードを耳コピする場合、同時に全部の音を聞き分けることは難しいので、まずはルート音を見つけるところからスタートします。
ルート音はコードの基本となる音で、特にベースの音を注意深く聴くことで見つけやすくなります。
ルート音がわかると、そこからコードやメロディがどのように進行しているかを理解する手助けにもなってきます。

練習曲で耳コピにチャレンジ

耳コピの基本ステップが分かったところで、実際に耳コピにチャレンジしてみましょう。
ここではシンプルな練習曲を用意したので、まずは何度か聞いてみましょう。


耳コピ練習曲

曲の構成を把握する

とても短い練習曲ですが、どういった構成か把握するために特徴を書き出してみましょう。

  • ギターがメロディーを弾いている
  • 伴奏はギターのストロークアルペジオとピアノ、ベース、ドラム
  • 曲は8小節と短い
  • 4小節のメロディーを2回繰り返している(最後が少し違う)

曲の骨組みが分かったので、この情報をもとに耳コピをさらに進めていきましょう。

音を拾ってみる

先ほどの分析で、4小節のメロディーが2回繰り返されていることが分かりました。
いくらシンプルな曲とはいえ、はじめて耳コピにチャレンジする人が、4小節のメロディーを一気にコピーすることは大変です。
そこで、4小節のメロディーをさらに短く区切ってみましょう。

出だしのメロディーを言葉で表してみると「タラタララ〜」と歌うことができます。
この部分ですね。

最初はこのくらいの短いかたまりにして、一つずつ音を探っていきます。

「タラタララ〜」のメロディーは、最初の音が4つ連続して、最後の音を伸ばしています。
音程を探る場合、伸びている音のほうが見つけやすいので「ラ〜」の音がギターの何フレットにあるかを、まずは見つけましょう。

※この曲のmp3ファイルが下のリンクからダウンロードできるので、先ほどご紹介した「Music Speed Changer」のABループ機能を活用して探してください。
(右クリック、長押しからダウンロードを選択してください)
mimikopi

見つかりましたか?

すぐに見つかったという人もいれば、なかなか見つからないという人もいると思います。
音源を何度も再生しながら一緒にギターを弾いていると、必ずピタッと合う音が見つかるので、根気よくチャレンジしてください。
この曲の場合、この音が特定できたら他の音がとても特定しやすくなります。

さて、ここで答え合わせです。
「ラ〜」の音は3弦の9フレットを弾いた音でした。
そしてこの音は、その後も何度も出てくるので基準としておきます。

次に「タラタラ」の部分ですが、先ほどの音より低いか高いかを判断します。
自信が無い方はもう一度曲をよく聞いて、一緒に口ずさんでみましょう。

ここでもじっくり聞いていくと「ラ〜」の音よりも低い音ということが分かります。

あとはひとつずつ音を拾っていくのですが、少し難しいと感じる方のためにヒントを出しておきます。
この曲で使われているフレットは以下の7ポジションのみです。
4弦・・・5、7フレット
3弦・・・5、7、9フレット
2弦・・・5、8フレット

※3弦9フレットと2弦5フレットは同じ音程ですが、弦の違いにも注意して聞き取ってみましょう。

細部を把握する

メロディーがひと通り弾けるようになったら、曲に合わせて何度も弾いてみましょう。
この時、伴奏のリズムもよく聞いて、メロディーのリズムも正確に弾けるように意識します。

また、ギターの場合ハンマリングやプリング、チョーキングなどのテクニックを使うことでニュアンスが変わってきます。
どんなテクニックが使われているかというところにも注目しながらコピーを進めていきましょう。

メロディーが簡単にコピーできたという人は、コードにもチャレンジしてみましょう。

コードの耳コピでは、まず最初にベース音の流れを把握します。
ベース音の流れが掴めたら、その流れの上でメジャーコードやマイナーコードを弾き、響きを聞き分けながらコードを特定していきます。

この曲で使われているコードはC、F、G、Amの4つです。
ベース音の流れが掴めていれば、もう答えは出たようなものですね。

答え合わせはこちら→耳コピ練習曲PDF

耳コピ上達のコツ

実際に耳コピを体験した感想はいかがでしたか?
簡単にできた人、難しかった人などそれぞれだと思いますが、これまでたくさんの生徒さんにレッスンを行ってきた経験からすると、耳コピは必ず誰もができるようになります。
そして練習を続けていると、耳コピのスピードもどんどん早くなっていきます。

ここでは耳コピを効果的に練習していくためのコツを、ご紹介していきます。

簡単な曲から始める

最初に挑戦する曲が難しすぎると挫折しやすくなるので、簡単な曲から始めることが大切です。

簡単に口ずさめるようなメロディーや、リズムがゆっくりした曲、コード進行や曲の展開がシンプルな曲が耳コピの練習に適しています。
また、ロックのギターリフやパワーコードが多用された曲もおすすめです。

少しずつ取り組む

1曲全体を一度に耳コピしようとすると大変なので、イントロだけ、リフだけ、特徴的なフレーズだけなど、少しずつ取り組んでみましょう。
1曲全部が耳コピ初心者におすすめ、という曲を探し出すのも大変なので、曲の一部だけを耳コピしていくのもとても良い練習です。

再生速度を落として聴く

速い曲や複雑なフレーズを耳コピする際には、再生速度を落として聴くことが非常に効果的です。
速度を落とすことで、速いフレーズも聞き取りやすくなり、正確に音程やリズムを捉えることができます。
再生速度を調整できるアプリやソフトを使って、最初はゆっくりとフレーズを聴き、慣れてきたら徐々にテンポを上げていきましょう。

他の楽器のパートも耳コピしてみる

最初はギターの耳コピに集中すると思いますが、慣れてきたら他の楽器のパートも耳コピしてみましょう。

ベースラインを耳コピすることで、曲のルート音を把握しやすくなり、コード進行の理解が深まります。
ドラムパートに耳を傾ければ、リズムの細かいニュアンスが捉えやすくなります。

曲全体の把握につながり、より音楽的な理解が深まります。

音楽理論を理解する

音楽にはとても明確なルールが存在しており、世の中のほとんどの楽曲はそのルールに沿って作られています。
それは作曲者がルールに沿って作ろうとしなくても、人間が聞いて心地よいと思う音楽を作ると、自然にそのルールに沿っているというほど普遍的なものなのです。

先ほどの耳コピ練習曲も、メロディーは「Cメジャースケール」という音階の中だけで作られています。
Cメジャースケールは「ドレミファソラシ」の7つの音で構成されているのですが、さらに厳密に見ていくと使われていた音は「ドレミソラ」の5つの音だけでした。
この5つの音だけを用いた音階には「Cメジャー・ペンタトニックスケール」という名前がついています。

また、コード進行も「ダイアトニックコード」と呼ばれる、基本ルールの中だけで作られていました。

音楽理論が理解できると、その曲で使われている音やコード進行のほとんどの部分が予測できるようになります。
その結果、耳コピのスピードはもちろん、楽曲の理解も格段に上がるので、ぜひチャレンジしてみてください。

音楽理論はこちらの記事で初歩の初歩から解説しています。

はじめての耳コピにおすすめの曲

最後に、はじめての耳コピ練習に適したおすすめ曲をご紹介します。
それぞれの曲で、耳コピのヒントになる音やポイントも紹介していくので、参考にしてください。

メロディーの耳コピ

シンプルで覚えやすいメロディーのギターフレーズばかりを集めました。
まずはこれらのメロディーだけに集中して耳コピしてみましょう。

Wonderful Tonight / Eric Clapton

【イントロのメロディー】

20秒あたりから始まるギターのメロディーは、3弦と2弦だけを使ったシンプルで美しいメロディーです。
耳コピのヒント:2弦10フレットが何度も使われている

空も飛べるはず / スピッツ

【イントロのメロディー】

日本人なら誰もが一度は聞いたことがある名曲です。
この曲のイントロのシンプルなメロディは、すぐに口ずさめる人も多いのではないでしょうか。
耳コピのヒント:5弦3フレット→4弦解放の順番でスタート

Day Tripper / The Beatles

【ギターリフ】

イントロからずっと弾き続けられているギターのリフが、この曲の顔になっています。
このフレーズが弾けると、この曲の8割が弾けたと言っても過言ではないでしょう。
耳コピのヒント:6弦解放から始まり、いちばん高い音は4弦4フレット

コードの耳コピ

シンプルなコード進行で耳コピしやすい曲を集めました。
いきなりコードで弾こうとせずそれぞれのベース音に注目して、コードのルートを探っていきましょう。

日曜日よりの使者 / ザ・ハイロウズ

3つのコードだけで作られたシンプルな名曲です。
ライブ映像で手元をみるとすぐに分かってしまうので、まずは音だけを聞いてコードを探してみましょう。

耳コピのヒント:メジャーコード3つです

Knockin’ On Heaven’s Door / Bob Dylan

4つのオープンコードだけで弾けてしまいます。
曲の構成もシンプルなので、まずは曲全体の流れをしっかりと把握してみましょう。

耳コピのヒント:ギターを始めた最初に覚える4つのコードしか使いません

小さな恋のうた / MONGOL800

パワーコードだけで弾けるとして、ギター初心者の入門曲としても人気です。
テンポが早く、耳コピと弾く練習を同時にやると大変なので、まずはベースの動きを耳コピしましょう。

耳コピのヒント:6弦7フレットをルートにしたパワーコードからはじまる

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