聞いていると聞こえている、アンサンブルの基本

練習方法

普段何気なく行っている「聞く」という行為ですが、一人で演奏する、誰かと一緒に演奏する、どちらの場合でも普段とは違う一段上の「聞く」が必要になってきます。

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「聞く」という行為は下のように大きく2つに分けることができます。

「聞こえている」

「聞いている」

同じじゃないかと思うかもしれませんが、これは大きな違いです。
「聞こえている」は受動的で自然と耳に入ってきている状態。意識がそれほど音に向かっていません。
「聞いている」は能動的で自分から音を聞きに行っている状態。集中して音に向かっています。
まずはこの2つの違いを理解することが大切です。

バンド演奏のレッスンを行っている時には「周りの音をしっかり聞きましょう」とアドバイスをすることが多いのですが、これは本人が「聞いている」つもりなのに「聞こえている」だけの状態になってしまい、良いアンサンブルが生まれないためです。

このような状態になってしまう原因として最も多いのが練習不足です。
自分の演奏に精一杯になっていると周りの音を注意深く聞く余裕など生まれるはずも有りません。
スタジオに入って人と合わせる時は自分のパートを完璧に演奏できる状態にしておくことが最低条件となります。
人と合わせるという事はとても奥が深く難しいため、プロミュージシャンであってもスタジオでのリハーサルを入念に行うのです。

個人練習はたっぷりして自分のパートは完璧にしたのに、それでも「聞こえている」だけの状態の人もいます。
その場合は「聞く」ことに慣れていないことが原因と考えられます。
「聞く」という行為は簡単なようでなかなか難しいものなのです。
特にバンドで演奏する場合、ドラム、ベース、キーボード、ボーカルなどたくさんの音が鳴っており、一度にそれらの音を聞くためにはそれ相応の訓練が必要です。
個人練習が十分にできていれば「聞く」という点を常に意識しながら練習することで、徐々に「聞いている」状態で演奏できるようになります。

人の話を聞く

先ほどの「聞こえている」と「聞いている」の違いがいまいちピンとこない場合、人の話を聞くというシチュエーションで考えても分かりやすいと思います。

1対1で会話をする場合、相手の話を聞いて理解しないとキャッチボールが成り立ちません。
相手が野球のボールを投げてきたら野球のボールを投げ返すのがキャッチボールです。
飛んできたボールをキャッチせずダンスを始めたらそこで終了です。
相手の考えを理解し、自分の考えを伝える、そのためには「聞いている」事が大前提です。
そこで初めて会話のアンサンブルが成立します。

一方、学校の授業などは1対多数の状態で聞いています。
この時、話をぼーっとしながら聞いて理解していなくてもその場は成り立ちますが、突然先生が自分を指名して意見を求めてきた場合、答える事が出来ず「分かりません」や「聞いていませんでした」と答える羽目になるでしょう。
このように話をただの音としてしか認識できず、理解できていない状態が「聞こえている」という状態です。

相手の話をしっかりと頭で理解して、自分の考えを伝えられるようにしておくことが「聞いている」という事です。
欧米の会社の会議では発言しない人は次から参加しないでよいと言われる事もあるそうです。
これはただ聞こえているだけでは意味がない、会議という場では意見と意見のアンサンブルから生まれる結論が求められているからです。
アンサンブルが出来ないという事は個人練習=事前準備を怠っている、自分の考えを持っていない、力量が足りないとみなされてしまいます。

聞く」ことの重要性

このように「聞く」ということは相手の音や意見を理解して、自分なりの音や意見を返すということにつながります。
バンドアンサンブルの醍醐味はこのコミュニケーションと、そこから生まれる一人一人の力が掛け算された音楽が生まれる瞬間です。

「聞こえている」と「聞いている」の違いお分りいただけたでしょうか。
相手の音を理解し、自分なりの音を投げ返す。
常にそんなことを意識しながら演奏してみると、より一層音楽が楽しくなるのではないでしょうか。

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