初歩からわかるブルースギターの弾き方

初心者向け

ギターを練習していると、早い段階で「ブルース」という言葉に出会います。
ブルースは多くの現代音楽のルーツとなっており、ギターを練習するうえで避けて通ることができない存在だからです。

この記事では、ギター初心者の方に向けてブルースの基本から、ブルースの雰囲気を味わえるフレーズの弾き方までご紹介していきます。

ブルースとは?

ブルースは19世紀末から20世紀初頭にかけて、アフリカ系アメリカ人のコミュニティで発展してきた音楽です。
差別を受けるなど過酷な状況の中で過ごしていた彼らが、日々の悲哀や明日への希望を歌う中で、労働歌やゴスペル、フォークソングなどの要素を取り入れ、独自の音楽スタイルへとつながっていきました。

その後、20世紀中盤には、シカゴやメンフィスなどの都市部にも広がり、さらなる発展を遂げます。
また、ブルースはロックンロールやジャズなど、新しい音楽ジャンルにも大きな影響を与え、そのルーツとなっています。

ブルースの長い歴史の中で、愛され続けている曲はたくさんありますが、とりあえずこれは押さえておけという3曲をご紹介します。

Sweet Home Chicago

ロバート・ジョンソンの名曲で、多くのアーティストによってカバーされています。

The Thrill Is Gone

B.B.キングの代表曲で、彼のエモーショナルなギタープレイが光る名作です。

Hoochie Coochie Man

マディ・ウォーターズによる曲で、ブルースの力強さとグルーヴを感じさせる一曲です。

ブルースはコード進行が全部同じ?

ブルースを初めて聴いたとき、ブルースの曲がすべて同じように聞こえたという方も多いのではないでしょうか。

もしそう聞こえたとしても無理はありません。
なぜなら、ブルースの多くの曲ではコード進行が同じだからです。

私たちが普段耳にするJPOPでは、1曲ごとにコード進行は違います。
(似たコード進行の曲というのはもちろんあります)

ですが、ブルースでは「12小節」のコード進行をひたすら繰り返すというフォーマットが基本とされています。

現代のJPOPでは
Aメロ(16小節)→Bメロ(8小節)→サビ(16小節)
のように1曲の中にたくさんのパートが存在します。

しかしブルースでは、「12小節」を1コーラスという単位でくくり、それを何度も繰り返して1曲に仕上がっています。

そして、12小節の中身は次のようになっています。
| E7 | E7 | E7 | E7 |
| A7 | A7 | E7 | E7 |
| B7 | A7 | E7 | B7 |

このコード進行は「ブルース進行」と呼ばれ、使われるコードの種類が3つなので、スリーコード進行と呼ばれることもあります。

それぞれのコードには「7」がついており、このようなコードを「セブンスコード」と呼びます。
E7は「イー・セブンス」と読みますが、ブルース以外のコード進行で「セブンスコード」が連続する場面はほとんどありません。
音楽理論的にはかなり特殊なパターンになるのですが、これがブルースの世界観を表す重要な要素になっているのです。

また、上記のコード進行はキーがEの場合で、キーがAになると以下のようになります。
| A7 | A7 | A7 | A7 |
| D7 | D7 | A7 | A7 |
| E7 | D7 | A7 | E7 |

キーがEの場合も、Aの場合も、コード進行を度数で表すと次のようになります。
|Ⅰ 7 | I7 | I7 | I7 |
| Ⅳ7 | Ⅳ7 | I7 | I7 |
| Ⅴ7 | Ⅳ7 | I7 | Ⅴ7 |

基本のコード進行を覚え、キーの概念さえ理解してしまえば、ほとんどのブルースの曲が弾けるようになってしまいます。

キーの概念についてはこちらの記事を参照

バッキングを弾いてみよう

ブルースの基本がわかったところで、早速ブルースのコード進行でバッキングを弾いていきましょう。

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基本的なブルースリズム

ブルースのバッキングにはたくさんのリズムパターンがありますが、その中で最も一般的なのが「シャッフル」です。
シャッフルリズムは、8分音符をスウィングさせることで独特のグルーヴ感を生み出します。

通常の8分音符の場合
「タタ タタ タタ タタ」
というリズムになりますが、シャッフルの場合
「タッタ タッタ タッタ タッタ」
というハネたリズムになります。

王道パターン

シンプルなパワーコードに少しだけ変化を加え、王道のバッキングパターンを弾いてみましょう。

バックのリズムをよく聞き、シャッフルで弾けるように練習します。
ここでは少しブリッジミュートをかけ、ダウンピッキングで弾いています。

ブルース基本バッキング

シャッフルのリズムが上手く掴めないという方もいるかと思いますが、普通の8分音符とシャッフルの違いは、「歩く」と「スキップ」の違いをイメージするとわかりやすくなります。

「歩く」ときは1歩進むリズムに合わせて「タタ」と口ずさんでみましょう。
等間隔のリズムが生まれるはずです。

「スキップ」の場合は1歩進む間に足で「タッタ」というリズムが生まれます。
スキップの足の動きを細かくみると
「右足でジャンプして右足で着地」→「左足でジャンプして左足で着地」
を繰り返しています。
イメージが掴めないときは、実際にスキップしてみましょう。
(音楽では、体でリズムを感じることがとても大切です)

ターンアラウンドでブルース感をアップ!

ブルースは12小節で1コーラスという区切りになっていますが、最後の1〜2小節部分でお決まりのフレーズを入れることがよくあります。
このお決まりのフレーズは「ターンアラウンド」と呼ばれており、次のコーラスへの流れを作ったり、ブルースらしさを際立たせる効果があります。

ここでは代表的なターンアラウンドを2パターン弾いてみましょう。

パターン1
ベースラインが上昇するパターンです。
譜面はブルース進行の9〜12小節目となっており、11、12小節目がターンアラウンドです。

ターンアラウンド1

パターン2
フレーズが下降するパターンです。
同じく11、12小節目がターンアラウンドになっています。

ターンアラウンド2

これらのフレーズは様々な場面で使われる、ブルースの共通言語のようになっています。
手グセになるまで何度も弾いておきましょう。

ブルースのソロを弾いてみよう

ブルースは12小節のかたまりを何度も繰り返して、1曲になっています。
多くのブルースの曲では、
イントロ → 歌 → ギターソロ → 歌 → エンディング
のような構成になっており、歌と歌の間に楽器がソロ演奏することがあります。

そして、このソロはほとんどの場合においてアドリブで演奏されており、その時の演奏者の感情や、会場の感情を取り込んだ即興演奏がブルースの醍醐味のひとつになっています。

ペンタトニックスケール

アドリブ演奏をする際、ブルースらしいフレーズを弾くために使われるのが「マイナーペンタトニックスケール」と呼ばれる音階です。
下のダイアグラムがEマイナーペンタトニックスケールの基本ポジションです。

Eマイナーペンタトニックスケール

※赤丸はルート音を表しています

キーがEのブルース進行の曲で、Eマイナーペンタトニックスケールを使ってアドリブを弾くと、ブルースらしい響きを楽しむことができます。

とは言っても、スケールを覚えただけでいきなりアドリブを弾くことはできません。
ここでは、Eマイナーペンタトニックスケールを使っシンプルなソロフレーズを弾いて、まずはブルースの雰囲気を味わってみましょう。
(こちらの動画は1コーラスのソロの後、バッキングトラックが続きます。練習に活用しましょう)

ブルースソロフレーズ

フレーズをよく観察すると、Eマイナーペンタトニックスケール以外の音が使われていることがわかります。
例えば、2小節目の1弦16フレット、3弦14フレットの半音チョーキングや、11小節目の5弦13フレットなどです。
これらの音は、マイナーペンタトニックスケールにプラスして使うとよりブルースらしさを強調できる音なので、マイナーペンタトニックスケールとセットで覚えておきましょう。

また、フレーズの出だしが前の小節から始まったり、2拍目の裏から始まったりしている部分がたくさんあります。
このように、リズムに変化を持たしたフレーズがブルースでは多用されるので、休符をしっかりと感じながら弾くフレーズに慣れ親しんでおきましょう。

他にもメジャーペンタトニックスケールやブルーノートスケールなど、使えるスケールはあるのですが、まずはマイナーペンタトニックスケールを把握するところから始めましょう。

ペンタトニックスケールについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。

練習の方法

ブルースを練習していく過程では、その多くがアドリブの練習に費やされがちですが、バッキングや楽曲の理解、歴史を知ることも大切な練習の一環です。

ブルースは今も進化を続けており、現代的なサウンドで演奏された聞きやすいブルースもたくさんあります。
まずはいろいろな曲を聞いて、お気に入りアーティストの幅を広げていきましょう。

Joe Bonamassa

Eric Gales

Gary Clark Jr.

たくさんの曲を聞く中で、お気に入りのアーティストに出会ったらそのアーティストの曲やフレーズをコピーします。
コピーしたフレーズは自分の財産になるので、ストックとして保存していきましょう。
そして、そのストックが増えるほど、自由にブルースが弾けるようになっていきます。

アドリブ演奏の考え方や練習方法は、こちらの記事でも解説しています。
ぜひ参考にしてみてください。

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