ペンタに1音足すだけ!ドリアンスケールでマイナーのアドリブをおしゃれにしよう

公開日: 更新日: 中級者向け

マイナーペンタでアドリブはできるようになったけど、どの曲を弾いてもペンタ一発で、毎回同じ雰囲気になってしまう。
そんな方におすすめなのが、ドリアンスケールです。

いつものAmペンタに、F#(ファのシャープ)という音を1つ足すだけで、マイナーなのにどこか明るく、少しおしゃれな響きが出せるようになります。

しかもドリアンは、ブルースを弾いているときに、気づかないうちに使っていることもあるスケールです。
この記事では、ドリアンスケールの仕組み、合う曲と合わない曲、Amペンタの基本ポジションへの足し方、そして練習の順番を解説していきます。

ドリアンスケールとは?

ドリアンスケールは、マイナーの曲でおなじみのナチュラルマイナースケールととてもよく似たスケールです。
この2つを、Amペンタと一緒に並べてみると、ドリアンの全体像が見えてきます。

まずは音の違いを聞いてみましょう。

それぞれのスケールの特徴となる音を強調したフレーズです。
ドリアンとマイナースケールの違い、マイナーペンタとの雰囲気の違いが感じられたでしょうか?

ペンタ/ナチュラルマイナー/ドリアンを並べてみる

下の表は、ルートをAにそろえて3つのスケールを並べたものです。

ナチュラルマイナー・ドリアン・ペンタの違い

一番上の行の数字は、ルート(A)から数えて何番目の音かを表しています。
音楽理論では「度数」と呼ばれるもので、この記事でも「6番目の音」のような言い方で進めていきます。

3つの行を見比べると、いくつかのことがわかります。

ペンタは両方のスケールに含まれている

まず、Amペンタの5音(A・C・D・E・G)は、ナチュラルマイナーにもドリアンにもそのまま入っています。
つまりどちらのスケールも、Amペンタに2音を足したもの、と考えることができます。

普段Amペンタでアドリブをしている方は、すでに両方のスケールの大部分を弾いていることになります。

足す2音のうち、9thはどちらも同じ

足す2音のうち、1つ目は2番目の音のBです。
この音は、ナチュラルマイナーでもドリアンでも同じBです。

アドリブやコードの話では、2番目の音を1オクターブ上で数えて「9th(ナインス)」と呼ぶことが多いので、この記事でもBを9thと呼んでいきます。

6番目の音で、ナチュラルマイナーかドリアンかが決まる

残るもう1つが、6番目の音です。
ここをFにするとナチュラルマイナー、F#にするとドリアンになります。

整理すると、

  • Amペンタ + 9th(B) + F = ナチュラルマイナー
  • Amペンタ + 9th(B) + F# = ドリアン

ということです。
2つのスケールの違いは、この6番目の音、たった1音だけです。

半音の違いですが、響きはかなり変わります。
Fは暗く沈んだ響き、F#は少し明るく浮遊感のある響きです。
マイナーなのに暗くなりすぎない、ドリアン独特の雰囲気はこの1音から生まれています。

このように、そのスケールらしさを決めている音を「特徴音」と呼びます。
ドリアンの特徴音はF#です。

なので、ドリアンを覚えるときは、まずF#を使うところから入るのがおすすめです。
9thのBは後から足せば十分です。

ドリアンスケールが合う曲・合わない曲

ドリアンはどんなマイナーの曲にも使えるわけではありません。
使いやすいのは、主に一発モノやブルースです。

一発モノ(Am7一発)

Am7のコードがずっと続くような、いわゆる一発モノの曲は、ドリアンがいちばん使いやすい場面です。

コードが変わらないので、F#を入れたときの響きの変化がそのまま耳に入ってきます。
ドリアンの雰囲気をつかむには最適です。

ツーファイブ(Am7→D7)

Am7→D7を繰り返す進行も、ドリアンとよく合います。
キーGで言うと、Ⅱm7→Ⅴ7にあたる進行で、ツーファイブと呼ばれます。

ここでポイントになるのが、D7のコードです。

D7は「D・F#・A・C」の4音でできています。
つまり、F#はD7の中に含まれている音(3度)です。

なので、D7に変わったところでF#を弾くと、コードにぴったりはまります。
コードの構成音を狙って弾く考え方は、ペンタ一発から卒業しよう!コードトーンを狙う1-6-4-5練習法で紹介した方法と同じです。

ブルースでも、気づいたらドリアンを使っている

意外かも知れませんが、ドリアンはブルースでもよく使われます。

AのブルースはA7・D7・E7の3つのコードでできていて、そこにAmペンタでアドリブを乗せるのが定番の弾き方です。
ここで、A7のコードに対して音を付け加えていくと、

  • B … A7に対しての9th
  • F# … A7に対しての13th

という関係になります。

9thや13thは、コードに彩りを加える音(テンション)の呼び方です。

9thはさきほど出てきた2番目の音のB。
13th(サーティーンス)は、6番目の音を同じように1オクターブ上で数えた呼び方で、ここではF#です。
数字が大きいだけで、音そのものはドリアンのBとF#と同じです。

Amペンタに9thと13thを足す、というニュアンスで弾いてた結果「A・B・C・D・E・F#・G」という音の並びになります。
これはAドリアンそのものです。

ブルースを弾き込んでいる方なら、ドリアンを意識していなかったのに、実はもう使っていた、ということもあるはずです。

さらにD7の上では、F#はツーファイブのときと同じくD7の3度になります。
ブルースの中でF#がなじみやすいのは、このためです。

ブルースそのものの弾き方は、初歩からわかるブルースギターの弾き方で解説しています。

合わない進行:FやDmが出てくる曲

反対に、Am→F→Gのように、Fの音を含むコードが出てくる進行では、ドリアンは合いません。

FのコードやDmのコードにはFの音が入っているので、そこでF#を弾くと半音でぶつかってしまいます。
こういう曲では、Amペンタやナチュラルマイナーのほうが自然に聞こえます。

コード進行の中にFやDmがあるかどうか。
迷ったときは、まずそこを確認してみましょう。

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ドリアンスケールのポジション

ここからは、Amペンタの基本ポジション(5フレット付近)にドリアンの音を足していきます。

まずは2弦7フレットのF#から

Amペンタの基本ポジションにF#を足すなら、最初は2弦7フレットだけで十分です。
2弦5フレット(E)と8フレット(G)の間にある音なので、ペンタの運指とも相性抜群です。

ドリアンの特徴音

4弦4フレットにも同じF#があるので、慣れてきたらそちらも使ってみましょう。

Bを足すとドリアンが完成

F#に慣れてきたら、Bも足してみましょう。
基本ポジションの中では、1弦7フレット・3弦4フレット・6弦7フレットがBです。

F#とBを両方足すと、5フレット付近のAドリアンはこうなります。

ドリアンスケール

もとのAmペンタの形はそのまま残っているので、ゼロから新しいポジションを覚える必要はありません。
いつものポジションに、使える音を追加していくイメージです。

ほかのポジションにつなげて指板を横に広く使いたい方は、ペンタトニックのボックスポジションをつなげよう!指板を横に広く使うための練習法もあわせて読んでみてください。

ドリアンスケールの練習方法

ドリアンの響きを体で覚えるには、同じフレーズを3つのスケールで弾き比べるのがおすすめです。

この記事の冒頭で紹介した動画の3つのフレーズは、ほぼ同じ形をしています。
違うのは、それぞれのスケールの特徴になる音だけです。
そこだけを変えて弾き比べることで、特徴音がどこで、どんなふうに響きを変えているのかを体感していきます。

バッキングはAm7一発で、どれも4小節のフレーズです。

練習フレーズ①:ドリアン

まずは、ドリアンで弾いたフレーズです。

ドリアンスケールの練習フレーズ

F#は2弦7フレットと4弦4フレットで使っています。
ポジションの章で紹介した2か所です。

1小節目と4小節目では、2弦7フレットのF#を長く伸ばしています。
2小節目の終わりや3小節目にもF#が出てきます。

マイナーなのに少し明るく、浮遊感がある。
これがドリアンの特徴音の響きです。

練習フレーズ②:ナチュラルマイナー

次は、同じフレーズをナチュラルマイナーで弾いたものです。

ナチュラルマイナースケールの練習フレーズ

ドリアンのフレーズとまったく同じ形で、F#だったところが全部Fに変わっています。
場所は2弦6フレットと4弦3フレットです。

同じ場所で伸ばしているのに、F#のときとは響きががらりと変わるのがわかるはずです。
伸ばしたFの、少し暗く沈んだ響きに耳を向けてみてください。

練習フレーズ③:マイナーペンタトニック

最後は、Amペンタだけで弾いたフレーズです。

マイナーペンタトニックの練習フレーズ

6番目の音は使っていません。
1小節目で伸ばしている音は1弦5フレットのA、4小節目で伸ばしている音は2弦8フレットのGです。

いつものペンタらしい、安定した響きです。
ドリアンやナチュラルマイナーと比べると、6番目の音がどれだけ雰囲気を左右しているかがよくわかります。

弾き比べるときのポイント

3つのフレーズを続けて弾いて、聴き比べてみましょう。
動画で使用しているバッキングトラックは、こちらのサイトで再生できます。

特に注目してほしいのは、1小節目と4小節目の伸ばしている音です。
ドリアンはF#、ナチュラルマイナーはF、ペンタはA(4小節目はG)。
長く伸ばしている場所ほど、特徴音の違いがはっきり聞こえます。

まずは3つのフレーズをそのまま弾けるようにして、慣れてきたら自分でF#の位置を変えたり、フレーズを作り替えたりしてみましょう。

F#の響きに慣れてきたら、ツーファイブ(Am7→D7)やブルースでも試してみてください。
合う曲・合わない曲の章で紹介したように、D7の上ではF#がコードの3度になり、ブルースでは9th・13thを足す感覚で、自然とドリアンの響きになっていきます。

まとめ

ドリアンスケールは、Amペンタに特徴音のF#を足すところから始められるスケールです。
一発モノやブルースで、いつものアドリブに新しい色を加えてくれます。

似た考え方で、メジャー系のスケールに1音の違いで色を付けるミクソリディアンについては、ギター弾きのための音楽理論講座34 スケールマスター② ミクソリディアンで解説しています。

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この記事を書いた人: (あさおか まさる)

ギター講師歴25年。ポケットエンターテインメント合同会社代表。
バンド活動や専門学校でのギター講師経験を経て、2010年に日本で初めてのオンラインギターレッスンスクール「THE POCKET」を設立。
レッスンの現場で触れ合った多くの生徒さんとの経験をもとに、ギター上達のための知識や練習方法を実践的に解説。表面的な練習方法だけでなく、演奏する人の目線に立った細かな視点と考え方を言語化しています。

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