エコノミーピッキングの練習方法と使い方
オルタネイトピッキングはきれいに弾けるようになったけど、弦移動の部分でもたついてしまうことがある。
そんな時に取り入れたいのが、エコノミーピッキングです。
弦を移るときの無駄な往復をなくして、ピッキングの動きを小さくする弾き方です。
ただし、エコノミーピッキングはオルタネイトの代わりではありません。
オルタネイトで正確に弾けることが前提で、そのうえで「ここはエコノミー」と意識して弾き分けられたときに、初めて武器になります。
この記事では、エコノミーピッキングの仕組みとオルタネイトとの違い、使う場面の選び方、そしてリズムを崩さずに身につける練習法を解説していきます。
エコノミーピッキングとは?
エコノミーピッキングは、同じ弦の中ではオルタネイト(ダウンとアップを交互に弾く)で弾き、弦を移るときだけ、次の弦の方向へ同じ向きのピッキングを続ける弾き方です。
たとえば2弦で3音弾いてから1弦に移るフレーズなら、ピッキングはこうなります。

2弦の最後の音をダウンで弾いたら、ピックはそのまま下へ進んで、1弦もダウンで弾きます。
2弦と1弦を、1回のダウンで通過するイメージです。
弦をまたぐ瞬間だけ、小さなスウィープ(複数の弦を同じ向きで一気に弾く奏法)をしている、と考えるとわかりやすいかも知れません。
エコノミーピッキングの使い手として有名なのが、フランク・ギャンバレです。
速いフレーズを驚くほどなめらかに弾くギタリストで、エコノミーピッキングやスウィープ奏法がどんな音になるのかを知ることができます。
オルタネイトピッキングとの違い
同じフレーズを、オルタネイトで弾くとどうなるでしょうか。

違いが出るのは、2弦から1弦に移るところです。
オルタネイトでは、2弦をダウンで弾いた次の1弦はアップです。
ダウンを弾き終えたピックは2弦と1弦の間にあるので、1弦をアップで弾くには、いったん1弦を飛び越えて外側に出てから戻ってくる必要があります。
エコノミーなら、2弦のダウンがそのまま1弦のダウンにつながります。
飛び越えて戻る往復がないぶん、動きが小さく済みます。

エコノミーピッキングのメリット
ひとつは、スピードを上げやすいことです。
弦をまたぐたびに往復が1つ減るので、弦移動の多い速いフレーズほど差が出ます。
ものすごく速いフレーズを多用するギタリストがエコノミーをよく使うのは、このためです。
もうひとつは、サウンドが変わることです。
2弦から1弦に移るところを「D・U」で弾いても、もちろん問題なく弾けます。
ただ、「D・D」で弾いたほうが音がなめらかにつながって、狙い通りのサウンドになるケースがあります。
また、1弦に移った直後にプリングが続く場合は、その1弦をアップよりダウンで弾いたほうが滑らかに聞こえる、といった場面もあります。
速さのためだけでなく、音のために選ぶこともある。
この視点を持っておくと、使いどころを判断しやすくなります。
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エコノミーピッキングを始める前に確認したいこと
エコノミーピッキングは、ある程度基本ができている方が使う技術です。
まずオルタネイトがきれいにできるようになってから、さらにスピードや効率を求めるときに取り入れていくものです。
ここで気をつけたいことがあります。
弦をたくさん移動するフレーズを弾いていると、気づかないうちにエコノミーのような動きになっていることがあります。
本来はオルタネイトで弾きたいところなのに、自然とダウンが続いてしまっている状態です。
本人はエコノミーが「できている」つもりでも、実はオルタネイトが正しくできていないだけ、というケースです。
この2つは見た目が似ていても、中身は大違いです。
確認の方法は簡単です。
弦移動の多いフレーズを、オルタネイトだけで正確に弾けるかどうか。
ここが弾けないうちは、エコノミーに進むより先にオルタネイトを固めておきましょう。
オルタネイトの基本はオルタネイトピッキングのコツと5つのトレーニングで解説しています。
どんなときに使う?エコノミーとオルタネイトの使い分け
全部をエコノミーで弾く必要はありません。
エコノミーが有効かどうかは、フレーズによって変わります。
何が正解というものはない部分です。
実は私自身も、エコノミーをそれほど多くは使いません。
使うのは、エコノミーでないと弾けないスピードのフレーズと、サウンド的にエコノミーで弾きたいところ。
この2つの場面です。
逆に言えば、オルタネイトで問題なく弾けて、音にもこだわりがない場面なら、無理にエコノミーにする必要はありません。
「速くなるから全部エコノミーにする」ではなく、フレーズごとに選ぶものだと考えてください。
1本の弦で偶数個の音が来るときは?
エコノミーがきれいにはまるのは、各弦3音のように、1本の弦で奇数個の音を弾くフレーズです。
1本の弦で2音や4音を弾くと、弦を移るときのピッキングの向きが、次の弦の方向と逆になってしまいます。
その場合の考え方は3つあります。
ひとつは、そこはオルタネイトで弾くこと。
エコノミーが使えない場所なら、オルタネイトで行くしかありません。
どうしてもそこでエコノミーにしたい場合は、フレーズ全体をアップから始めるという手があります。
2弦で2音弾いて1弦に上がるなら、2弦を「U・D」で弾けば、次の1弦もDでつながります。
フレーズの頭からピッキングの順番を数え直して、エコノミーにしたい弦移動のところで向きがそろうように調整します。
もうひとつ、音の配置を変えるという方法もあります。
同じ音を別の弦で弾けば、1本の弦で弾く音の数を変えられます。
エコノミーピッキングの練習方法
練習の前に、意識してほしいことが2つあります。
1つ目は、弦をまたぐところは「1回の動き」で弾くことです。
2弦を弾いて、止まって、また1弦を弾く、という2回の動きになっていたら意味がありません。
1回のダウンピッキングで2本の弦を弾くイメージです。
2つ目は、右手の振りをコンパクトにすることです。
エコノミーピッキングは、ピッキングのスピードを上げるためのテクニックです。
なので、同じ向きのピッキングが続くところや、弦が変わるところだけを意識すればいいわけではありません。
たとえば2弦・1弦と続けてダウンで弾いたときに、その1弦のダウンで手が大きく動きすぎていたら、結局意味がありません。
弦移動でダウン・ダウンやアップ・アップが続くところも、普通にオルタネイトで弾くところも含めて、全体的に右手の上下の振り幅をコンパクトにする意識が大切です。
テンポは、本当にゆっくりから始めます。
自分の手の動きを完全にコントロールできる速さが目安です。
ゆっくり弾いているときに、弦をまたぐ動きが1回になっているか、振りが大きくなりすぎていないかを確認しておきましょう。
Step1:2弦から1弦へ上がる
Cメジャースケールの一部を使います。
2弦5・6・8フレット、1弦5・7・8フレットの6音です。

2弦は「D・U・D」、1弦も「D・U・D」。
2弦の最後のDと1弦の最初のDを、1回の動きでつなげます。
最初は手が戸惑うかも知れません。
普段のオルタネイトとは違う動きなので、それは自然なことです。
基本ができている方なら、何度か練習するうちに意外とできるようになります。
Step2:1弦から2弦へ下がる
Step1の動きが安定してきたら、逆向きです。
1弦8・7・5フレット、2弦8・6・5フレットと下がります。

今度は1弦から「U・D・U」、2弦も「U・D・U」。
1弦の最後のUと2弦の最初のUを、1回のアップでつなげます。
Step3:6弦から1弦まで通して弾く
上り下りの両方が安定してきたら、6弦から1弦まで、各弦3音ずつのポジションで通して弾きます。

上るときは各弦「D・U・D」、下りるときは各弦「U・D・U」です。
弦移動が5回続くので、1回ずつ動きがつながっているかを確認しながら弾きましょう。
Step4:オルタネイトと弾き分ける
最後に、同じフレーズをオルタネイトとエコノミーの両方で弾きます。
Step1の6音を、1回目はオルタネイト、2回目はエコノミー、と交互に弾いてみてください。
基本の動きがすぐにできるようになっても、使いこなすにはまた別の練習が必要です。
すごく慣れてくると、無意識に効率の良いところでエコノミーが入るようになるのですが、それは両方を意識して弾き分けられるようになってからの話です。
エコノミーピッキングで気をつけたいのはリズム
エコノミーピッキングで崩れやすいのは、リズムです。
基本練習をちゃんとしてきた方ほど、「拍頭はダウンで弾く」という意識や癖がついています。
これ自体は良い習慣です。
ところがエコノミーでは、拍頭にアップが来ることがあります。
身についた感覚とずれるので、リズムが曖昧になってしまうのです。
Step1の6音で確かめてみましょう。
3連符で弾くと、拍頭に来るのは1音目と4音目です。
どちらもダウンです。
16分音符で弾くと、拍頭に来るのは1音目と5音目です。
5音目は1弦7フレット、ピッキングはアップです。

同じフレーズ、同じピッキングでも、リズムが変わると拍頭に来る向きが変わります。
対処法は、フレーズを分解して、どこが拍頭に来ているのかを先に確認しておくことです。
TAB譜に拍頭の印を書き込んでから弾くのもおすすめです。
Step3を16分音符で弾くと、拍頭に来るピッキングは「D・U・D・D・U」と不規則に入れ替わります。
何も考えずに弾くと、ここでリズムが揺れやすくなります。
ゆっくりのテンポから練習するのは、このためでもあります。
テンポを下げているときに、手の動きだけでなく、拍頭の位置も一緒に確認しておきましょう。
リズムに不安がある方は、リズム感が劇的に良くなる!裏拍トレーニングのすすめもあわせて読んでみてください。
まとめ
エコノミーピッキングは、弦移動の往復をなくして動きを小さくする弾き方です。
オルタネイトで正確に弾けることを土台に、意識して弾き分けられるようになって初めて、使える技術になります。
速弾きそのものの考え方は速いフレーズがきれいに弾けない原因と、正解を知るための練習法で、プリングのコツはハンマリングとプリングできれいに音を出すコツと練習方法で解説しています。




