ギターが上達しない原因は何?ありがちな10個の悪い癖
ギター初心者のAさんとBさんがいました。
二人はどちらも会社員として働きながら、プライベートを充実させたいという理由で憧れだったギターをはじめました。
二人とも仕事は忙しく、平日はそれほど多くギターを練習する時間が取れません。
同じような条件でギターを始めたAさんとBさんでしたが一年後、二人のギターの腕前には大きな差ができていました。
Aさんは自分の好きな曲も含めて10曲ほど弾けるようになり、5曲目以降は演奏動画をYouTubeにアップして再生回数も1,000回を超え、twitterでもたくさんのいいねをもらっています。
Bさんは2曲は弾けるようになりましたが、自分でもうまく弾けていると実感できず、ギターもほとんど触らなくなってしまいました。
二人にこれだけ大きな差が生まれた原因はなんだったのでしょうか?
この1年間の二人の練習風景を見ながらその原因を探ってみましょう。
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目標を定めずに練習する
Aさんは仕事柄、成果を出すためには目標の設定と、そこに到達するまでのマイルストーンの重要性を理解していました。
そのため、ギターを始める時にも「2ヶ月で1曲弾けるようになる」という目標を掲げました。
この目標をどうやって達成するかを考えたAさんは「2ヶ月で初心者の自分が1曲弾けるようになるためにはある程度の練習量と適切な練習方法、そして初心者でも弾ける選曲が重要である」との答えにたどり着きました。
そこで、
「毎日30分はギターの練習時間を確保する」
「ギターレッスンを受ける」
「ネットでおすすめされている初心者向けの曲の中から自分の好きなアーティストの曲をピックアップする」
という3つのマイルストーンを設定しました。
2ヶ月後、Aさんは無事目標を達成しギターを弾ける喜びと大きな達成感を手に入れました。
Bさんはとりあえず近くの本屋さんで初心者向けの教則本を買ってきて練習をスタートすることにしました。
チューニングの仕方からピックの持ち方、コードの押さえ方など一通りやってみましたが、途中で飽きてきたのでYouTubeのレッスン動画の中から自分に弾けそうな内容を探すようになりました。
面白く、ためになる内容の動画がたくさんアップされているので、飽きずにギターを弾けるようになりましたが、2ヶ月後これといって弾けるレパートリーもなく、暇な時間があればYouTubeにおすすめされた関連動画を見ながらギターを弾いています。
目標を定めることで、そこにたどり着くまでの道筋を逆算して考えることができるようになります。
また、目標があればモチベーションの維持や練習の動機付けにもなります。
どんな小さな目標でも構いませんので、目標を定め、紙に書き出し、常に目につくところに張り出しておきましょう。
目標を持つことは、ギター上達のためにとても重要な項目です。
こちらの記事では最初の目標にぴったりな曲をご紹介しています。
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毎日の積み重ねをおろそかにする
Aさんは「毎日30分はギターの練習時間を確保する」という目標を達成するため、普段の生活にも少しだけ変化が出てきました。
「仕事を効率よく進める」「ダラダラとテレビやネットを見ることをやめる」など、少しの工夫で毎日の練習時間を確保することに成功しました。
ギターの練習時間を確保するために始めた習慣でしたが、仕事も含め日常生活全体にメリハリが出てきたように感じています。
Bさんは空いた時間ができれば練習するというスタンスをとっていました。
SNSやテレビなど、時間を奪いにくる誘惑はとても強く、なかなか時間が空くときは訪れませんでした。
平日の夜と週末に練習を重ねていましたが、徐々に練習する回数が減っていきました。
楽器の演奏において、毎日の練習はとても重要な要素です。
一日練習を怠ると自分が気付く。
二日怠ると批評家が気付く。
三日怠ると聴衆がが気付く。
この言葉はポーランドのピアニストイグナツィ・ヤン・パデレフスキーが残した言葉で、練習の大切さを見事に言い表しています。
どんなに練習して身につけた技術も、練習をおろそかにすると退化していってしまうものなので、演奏技術の維持と上達のために毎日の練習は欠かせません。
小さな音量で練習する
Aさんが平日に練習できる時間帯は、仕事が終わって家に帰って一息ついた21:00以降がほとんどでした。
そのため、練習用のアンプと言えども近所迷惑を考えると音を出すことができないので、ヘッドホンをして練習していました
ヘッドホンで練習していると音が伸びていなかったり、コードがちゃんと弾けていないなど細かな部分まで分かってしまうので、最初は苦手意識がありましたが、その迫力のあるサウンドに慣れてしまうと余計に練習が楽しくなってきました。
週末の昼間にヘッドホンを外し、アンプから音を出して弾いていると、まるで自分が一流ギタリストになったような錯覚を覚えるほど気持ちよく弾けてしまいました。
BさんもAさんと同じく平日の夜に弾くことが多かったのですが、常にエレキギターの生音で練習していました。
近所迷惑を気にする必要がないほどの小さな音量ですし、押さえ方や弦を弾く順番などの練習には生音で十分と感じていました。
週末の昼間などたまにアンプにつないで弾いてみると、普段弾けてるはずのフレーズの音が出ないし、なぜか弾いてもいない弦の音が出ているしで、全く楽しくありません。
普段から小さな音で練習していると、音のつながりや不要な弦のミュート、ピッキングの強弱など細かな部分がおろそかになってしまいます。
エレキギターの場合、アンプに繋がないと音量が小さいため演奏の細かな部分が聞き取れず、ちゃんと弾けていないにもかかわらず弾けていると錯覚してしまい、上達の機会を逃してしまいます。
ある程度の音量を出し、自分の音をよく聞きながら練習することが、効率よく上達するためには欠かせません。
自分の音を録音して聞かない
Aさんは週末の練習では必ずスマホで自分の演奏を録音するようにしていました。
初めて録音を聞いたときは自分の弾けなさ加減に絶句してしまいましたが、何度も録音して聞き返していると、どこが弾けていないのか、原曲とどのように違うのかが徐々にですが分かってきました。
また、自分の成長の記録にもなるので、酷い演奏でも消さずに保存しており、たまに聞き返して自分の上達ぶりを実感しています。
Bさんも何度かスマホで録音してみましたが、想像以上に酷い演奏だったため
「こんな演奏を聞いたら耳がおかしくなる!」
と思い録音することをやめてしまいました。
特に初心者の方の場合、弾くことに精一杯なうえ、さらに自分の弾いた音をその場で聞くとなると、2つの事を同時にこなすことになりほぼ不可能です。
そのため、自分が弾けているのか弾けていないのか判断するためには、録音して後から客観的に聞くことが大切なのです。
録音することで「弾けている」「弾けていない」の判断だけでなく、「良い部分」「悪い部分」も冷静に判断できるようになります。
その反省を練習につなげることで、より充実した効果的な練習を行うことができるようになり上達につながっていきます。
録音はこちらの記事で紹介しているような簡易な方法で十分です。
ギターの練習では、自分自身の演奏を録音して聞き返すことが大切です。 聞き返すことで「正しく弾けているか」「不要な音は出ていないか」「抑揚のついた演奏ができているか」など客観的に判断でき、自分の演奏の良い点や改善点などがはっきりとわかります。 自分の演奏を録音する習慣のある人とそうでない人では...
基礎練習をしない
Aさんは毎日の練習の最初に、必ず基本のクロマチックトレーニングをウォーミングアップがてらに行っていました。
毎日練習していると少しずつポイントが掴めてきて、運指もきれいになってきた気がします。
Bさんは退屈な基礎練習はほとんどやりません。
もちろんクロマチックトレーニングもやったことはありますが、単純で楽しくないため何度も繰り返して弾くことはありませんでした。
スポーツでも筋トレや素振りなど、基礎練習はとても重要視されています。
基礎練習だけで上達するわけではありませんが、基礎を身につけておくことで、その上に重ねる応用部分がすんなりと身につくようになります。
ギターで頻繁に使われる基礎練習に、クロマチックトレーニングと呼ばれる運指トレーニングがありますが、これは初心者だけでなく一流のプロギタリストでも常に行っている練習です。
基礎を固めることが、長い目で見たときの上達速度に大きな違いをもたらします。
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ながら練習をする
Aさんはヘッドホンで練習することも多く、練習時は基本的に練習に集中していました。
自分の音に集中して練習することで音に対する感度も上がり、普段音楽を聞いていても以前とは聞こえ方が随分と違ってきたと感じています。
Bさんはテレビ番組を見ながら練習することも多く、自分では時間を有効活用できていると感じていました。
おげでギターを持つ時間だけはある程度確保することができました。
テレビやスマホなど、私たちの集中を邪魔する要素はたくさんあります。
忙しくて時間が取れないからと、ながら練習をして練習した気になってしまう人がいますが、あまりおすすめできません。
集中して行う10分の練習と、ながらで行う30分の練習では、集中して行う10分の練習の方が効果や密度は高くなります。
たまにであれば問題ありませんが、いつもながら練習になっているとなかなか上達しないばかりか、「集中してギターを弾くことができない」という最悪の癖がついてしまう原因にもなります。
リズムの重要さを過小評価する
Aさんは自分の録音を聞き返していて、なんとも言えない違和感を感じました。
ギターレッスンを受けている先生に質問してみたところ、リズムの甘さを指摘されました。
それからはリズムに気をつけて演奏すると同時に、メトロノームを使ったリズムトレーニングも行っています。
Bさんが好きな曲にはかっこいいギターソロが入っていました。
ギターソロはメロディーを弾いているようなものだから、リズムはドラムなどが出すものと考えていました。
メトロノームのアプリはスマホに入れていますが、あの単調な音を聞いていると眠くなってしまうので、ほとんど使ったことはありません。
ある程度ギターが弾けるようになった人の演奏で多いのが
- 「難しいフレーズが弾けているがなんだかしっくりこない」
- 「なんだかかっこ悪い」
というようなフワッとした感想で、こういった場合の原因の多くがリズムにあります。
リズムは演奏に大きな影響を及ぼすのですが、その違いをはっきりと認識できるようになるにはそれなりのトレーニングが必要になります。
いまいちピンとこないかもしれませんが、騙されたと思って毎日の練習にリズムトレーニングを加えてみましょう。
未来のあなたの演奏に大きな違いを生む、上達へのとても大きなポイントです。
「わたしにはリズム感がないから…」 あなたはそんな悩みを抱えていませんか? リズム感の大切さは音楽だけにとどまらず、ダンスやスポーツなど様々なジャンルで取り上げられており、リズム感を鍛えることでそれぞれの技術向上につながると言われています。 私はギター講師を長年やっていますが、リズム感...
毎回ギターをケースに収納する
Aさんは毎日の練習後、クロスでギターについた汚れを拭きギタースタンドに立てかけて収納していました。
ギターを弾こうと思った時にすぐ弾ける環境が整っていました。
Bさんは練習後、ギターに付属品としてついてきたソフトケースに収納していました。
練習する際はケースから取り出しセッティングをする作業が発生し、それがめんどくさくなりギターを弾かない日が何度もありました。
忙しい毎日を送りながらギターを練習していると、時間はとても貴重です。
練習しようと思い立った時に、ギターをケースから取り出すという作業が発生するだけでも、貴重な時間が削られていきます。
アンプやシールド、ヘッドホンのセッティングも含め、思い立ったら5秒でギターが弾ける環境を目指しましょう。
このような環境があれば、練習に尻込みすることなく手軽に取り組めるようになります。
楽器のメンテナンスをしない
Aさんは毎日の練習が終わったら、ネック、ボディー、弦をきれいに拭きあげてからギタースタンドに立てかけていました。
また、毎日弾いているのでギターの状態の変化にも敏感になってきました。
ギターを初めて半年たった頃、なぜか弦が押さえ辛くなってきたため購入した楽器店に相談したところ「ネックが曲がってきている」と言われました。
簡単な調整で済むからと、その場で調整をしてもらい元どおりの弾きやすい状態になりました。
Bさんもギターを弾いた後の拭きあげは念入りに行っていました。
ギター購入から半年ほどで弾きにくいと感じることが多くなりましたが、自分がちゃんと練習していないからだと考え、楽器のメンテナンスなどは考えもしませんでした。
ギターは木材からできているため、温度や湿度の変化を受けコンディションが変化するのは当然のことです。
そのため、ネックが少しずつ曲がってしまい弾き辛くなるという現象は避けられず、定期的なメンテナンスが必要になってきます。
ネックや弦高のメンテナンスは、慣れてくれば自分で行うこともできるようになりますが、最初は購入した楽器店やリペアショップにお願いすることになります。
メンテナンスをおろそかにしていると弾きづらいギターになってしまい、それが原因で上達速度が低下し、ギターを弾くこと自体が苦痛になってしまうケースもあります。
ギターは定期的なメンテナンスが必要な楽器だと考えておきましょう。
やればやるほど毎日上達すると信じる
Aさんが最初の壁にぶち当たったのはギターを始めて8ヶ月目のことでした。
新しく取り組んでいた曲が、どれだけ練習しても弾けるようにならなかったのです。
弾けないパートは後回しにして他のパートを練習をする、役に立ちそうな基礎練習を取り入れるなどして諦めずに練習したとこと、ある日突然にすんなりとコツをつかみ、弾けるようになってしまいました。
Bさんはまだ大きな壁を感じたことはありませんでしたが、練習しても上達している実感がわかず、次第にギターへの熱が冷めていきました。
楽器を練習していると必ず上達の踊り場が現れます。
毎日練習していると少しずつ上達する期間と、まったく上達を感じられない期間が現れます。
そんな時は以下の図を思い出してください
線状に上達する時期と階段状に上達する時期があり、スランプに陥った時に諦めずに練習を続けていると必ず飛躍的に上達する時が訪れます。
上達を感じられない時期がくれば、その先には上達の階段が待っているのだと前向きに捉えてください。
音楽でも、スポーツでも、勉強でも、仕事でも、真剣に取り組んでいると誰しもスランプに陥り、壁にぶち当たる時がきます。 このスランプを乗り越えられず途中で諦めてしまったり、努力をやめてしまう人を見ると、もったいないな〜と心の底から思ってしまいます。 スランプを感じても挫けず乗り越えられるように、すべ...
さいごに
ギターの上達が遅くなる10個の悪い癖についてみてきました。
- 目標を定めずに練習する
- 毎日の積み重ねをおろそかにする
- 小さな音量で練習する
- 自分の音を録音して聞かない
- 基礎練習をしない
- ながら練習をする
- リズムの重要さを過小評価する
- 毎回ギターをケースに収納する
- 楽器のメンテナンスをしない
- やればやるほど毎日上達すると信じる
ここで出てきた項目は今日明日の上達を左右するものではありませんが、長期的な視点でみた場合、ギターの上達に大きな影響を及ぼす項目です。
ギターは上達すればするほどその楽しさが増していく楽器です。
1年後、あなたが思いっきりギターを楽しめているように、まずはご自分に当てはまる項目がないかチェックしてみてはいかがでしょうか。